【試乗】新型アウディQ3は見た目や装備やデジタル化の面では文句なし! 走って感じた「若干の課題」とは? (2/2ページ)

走りに関してはまだまだ課題あり

 走り始めると、2リッターTFSIエンジンは必要十分以上の動力性能を発揮する。204馬力と320Nmというスペックは日常域では余裕があり、高速道路への合流や追い越しでも不足は感じない。伝統のquattroシステムも安定したトラクションを生み、雨天やワインディングでも安心感が高い。

 一方で、乗り味については気になる点もある。今回採用された2バルブ式ダンパーコントロールは、伸び側と縮み側を独立制御し、ピッチ方向では毎秒1000回、ロール方向では毎秒最大200回もの制御を行うという。

 理論上は高い性能を備えるが、実際の乗り味はやや硬質だ。路面の継ぎ目や段差では入力が直接伝わり、ハーシュネスも比較的強めである。高級SUVとして期待する上質な乗り心地にはあと一歩届いていない印象を受ける。

 その背景には足まわりの構造も関係しているようだ。フロントサスペンションのロワアームやリヤサスペンションアームにはスチールプレス材が多用されている。アルミ製部材に比べると振動減衰性能では不利になりやすく、微振動や共振の処理という点では高級車らしい洗練性に欠ける部分が感じられたのだ。そこからは全体としてコストと性能のバランスを優先した設計思想が見えてくる。

 プログレッシブステアリングはセンター付近の応答性が高く、市街地では扱いやすい。切り増すとギヤ比が変化し、コーナーでも自然な操舵フィールを実現している。試乗車はS lineパッケージ装着車で19インチタイヤを装着し、車両本体価格は628万円。さらにオプション総額は81万円で、試乗車価格は700万円を超える構成だった。燃料はハイオク指定で、市街地中心の試乗では実燃費はおおむね10km/L前後だった。

 新型Q3はデザイン、デジタル装備、運転支援機能では間違いなく大きく進化した。上級モデルに迫るインフォテインメントやライティング技術は魅力的だ。しかし、走りそのものを見ると、快適性や足まわりの質感にはなお改善の余地が残る。

 スタイリング重視ならスポーツバック、実用性を優先するなら標準ボディという選択が現実的だろう。

 デジタル技術の進歩が目を引く一方で、ドライバーが五感で感じる乗り味まで含めて高級車として完成度を高められるか。その点がQ3のガソリンモデルにとくに期待したい課題である。


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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