この記事をまとめると
■ハイラックスとトライトンのモータースポーツでも通用する素性を徹底チェックした
■2台を乗り比べるとそのキャラクターは対照的だった
■トライトンはSUVのような俊敏さでハイラックスは本格クロカン譲りの安心感が魅力だ
日本で販売されている2台のピックアップを比較
日本市場において長らく唯一無二のピックアップトラックとして君臨してきたトヨタ・ハイラックス。しかし2024年、約12年ぶりの日本市場復活を果たした強大なライバル、三菱トライトンが上陸した。
今回はこの注目の2台を連れ出し、比較テストを行う機会に恵まれた。新型ハイラックスは、群馬県にあるオフロードパーツメーカー「JAOS(ジャオス)」に納車されたばかりの真っさらな車両をお借りすることができた。
番場彬さんとトヨタ・ハイラックスと三菱トライトン画像はこちら
私自身、じつはこれまで先代ハイラックスのラリー競技用に改造されたマシンしか運転した経験がない。そして9月に開催されるXCRスプリントカップシリーズ「ラリー北海道」では、まさにこの新型ハイラックスをベースにしたラリーカーでのデビューを予定している。それだけに、ベース車両としてのハイラックスの実力、そしてライバルであるトライトンの仕上がりには並々ならぬ興味があった。
実際に2台を乗り比べてみると、同じ1トンピックアップトラックという枠組みでありながら、そのキャラクターは驚くほど明確にわかれていた。
まずステアリングを握ったのはトライトン。今回試乗したのはパフォーマンスダンパーが装着されたモデルだ。走り出してすぐに驚かされたのは、低速トルクの強さである。アクセルを優しく踏んだだけで、グイグイと車体を前に押し出してくれる。街なかでのレスポンスのよさは特筆モノだ。
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ハンドリングは非常にニュートラルで、切り始めから過剰な反応を見せない。切ったぶんだけゆっくりと確実に曲がっていく「しっとり」としたフィーリングがあり、ドライバーに強い安心感を与える。
サスペンションには適度なコシがあり、ステアリングを素早く切っても無駄なロールが発生しないため、初めてのピックアップトラックに乗る人でもクルマ酔いしにくいだろう。路面からの接地感やインフォメーションをしっかりとドライバーに伝えてくるダイレクトさは、ピックアップトラックというよりはまさにスポーツSUVの感覚である。
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一方で、2WD走行時にはフロントまわりにわずかな振動を感じる場面があり、ステアリングの軽さも含めて少し心許ない印象を受けた。日常使いでも4WDに入れて走るほうが、このクルマ本来のドッシリとした「三菱らしい」よさを味わえるはずだ。また、エンジン音はハイラックスと比較するとやや大きく感じられ、ブレーキタッチも奥で踏み込むような重さがある点が特徴的だった。
続いて、JAOSに納車されたばかりの新型ハイラックスに乗り換える。トライトンから乗り換えると、その乗り味はランドクルーザー70など、トヨタ伝統のクロスカントリー車(オフローダー)の系譜にあることを強く感じさせる。
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乗り心地は決して硬くなく、むしろ非常にソフトに仕上げられている。トライトンが路面の情報をドライバーに直接伝えてくるのに対し、ハイラックスは荒れた路面や石畳などの凹凸をシャシーやサスペンションが包み込むように吸収する。そのため、どれだけ悪路を走ってもドライバーに不安を感じさせない懐の深さがある。ただ、乗用車的な安定感を求める人にとっては、少しフワフワとした接地感の薄さを感じるかもしれない。
ステアリングの特性も対照的だ。ハンドルを切ると、ワンテンポ遅れて車体がロールし、そこからグニャリと曲がり始める。ダイレクト感という点ではトライトンに譲るが、この独特の「遅れ」こそが、従来のランクルなどを愛するクロカン好きにはたまらない味付けといえるだろう。エンジンはトライトンよりも静粛性が高く、乗用車ライクな仕上がり。低速域のレスポンスよりも、2000回転以上の中高回転域でのブーストを優先しているセッティングであり、高速巡航などではこちらに分がありそうだ。