100km/h走行時は100m空ける……は時代遅れ! 警察も推奨する「車間距離」の新常識「2秒ルール」とは (1/2ページ)

制動距離と空走距離があるからクルマは急に止まれない

 もしかしたら本誌の読者にも、前のクルマに追突した、逆にうしろから追突された経験のある人がいるかもしれない。最悪、死亡事故に至る重大な運転ミスだ。ところが、依然として追突事故がなくならないのは、あまりにも短い「車間距離」にあることは明白だ。

 一度意識して、ほかのクルマが、どの程度前方のクルマと間隔をとって走っているかを観察してみるといいだろう。一般道ではクルマ1台分(4〜5m)も空けていないケースを見かけることも珍しくない。その状況で前のクルマが突発的にブレーキをかけたとしたら、どんなに反射神経のいいドライバーでも制動操作が間に合うわけがない。

 考えてほしい。たとえば、50km/hで走っているとしたら、1秒間で進む距離はおよそ14mだ。さらに、ドライバーが危険を察知してからブレーキペダルを踏み、実際にブレーキが利き始めるまで1秒近くかかると言われ、このあいだにもクルマは進んでいる。これが”空走距離”と呼ばれていることは誰もが教習所で教わっているはず。「クルマは急に止まれない」という標語の根拠にもなっているのだが、運転に慣れるにしたがって記憶から忘れ去られてしまっているのだろう。

 たしかにタイヤを含めてクルマの性能は数十年前から進歩し、制動距離も格段に短くなった。しかし、クルマは急に止まれないということに今も昔も変わりはない。

迫る後続車はやり過ごす

 では、なぜ車間を詰めたがるのか? 興味深いことに、混雑した道路と、交通量の少ない郊外の道路で比較すると、同じような速度で流れているにもかかわらず、明らかに混雑した道路のほうが前方車との間隔が狭いことがわかる。

 郊外路であれば、周囲のクルマを気にせず、ゆったり走っていても予定した時刻に目的地に到着できる。急ぎの用事でもない限り、車間を詰める必要などないからだろう。対して、混み合った道では思ったように進めずイライラを募らせ、しかも到着時刻が決まっていれば、遅れまいと無意識のうちに速度は超過しがち、車間も詰めがちになるものだ。つまり「心の余裕」がない状況。

 車間を詰めたところで早く進むわけもなく、ムダな行為。煽り運転とみなされ、道交法の「車間距離保持義務違反」で検挙される可能性も否定できない。

 一方で、車間を詰められた側にも注意が必要だろう。

 たとえば、片側一車線の道路を法定速度内で走っているときに後続車が執拗に迫ってきたとする。ヘタなことはせず、左側の空いたスペースに退避したり、路肩に寄せるなどしてやり過ごすことが賢明な対応だ。

 相手がマトモでないことも十分に考えられる。追突でもされれば、自車も走っていた状況なら過失割合が生じるかもしれない。危うきに近寄らない、賢いドライバーでありたい。

前車は視界を遮る障害物

 車間距離を十分に空けることのメリットは、前走車への追突を防ぐことだけに限らない。安全でスムースな運転でポイントになるのは、なによりも「視界」だ。

 初心者や運転が苦手な人の場合、目の前のことにしか意識が向かず、前方で起こっている事態の変化に対応が遅れ、運転がギクシャクし、危険回避が遅れるケースが少なくない。

 それに対して、上手なドライバーは、例外なく視野を広く持ち、視点を遠くまで向けている。そうあるためには、できる限り広い視界を確保することが重要だ。自車の前を走るクルマは視界を遮る障害物。できる限り車間を空け、前を走るクルマの動向以外にも(一般道であれば)対向車や、前方の歩行者や自転車の存在、あるいは信号が変わるタイミングなどを把握。かなり後方からアクセルだけで車速をコントロールしながら安全かつ、なめらかな運転に繋げている。

 さらに上級者になると、たんに適切な車間距離を維持するだけではなく、ルームミラーで後続車との間隔も測りながら、後続のドライバーをイライラさせない、ノロノロではない範囲内での絶妙な速度調整も行っている。

 背の高いトラックなどの後方で車間をとらず、ピッタリ接近して走っているクルマを頻繁に見かけることがあるが、大きな壁を目の前にして走っているのとなにも変わらない。その先の状況がまったく読めない、きわめて危険な運転と言わざるを得ない。


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