本気の販売戦略と驚きの価格設定 発表会では、BYD 株式会社副総裁/BYD JAPAN株式会社 代表取締役社長の劉 学亮氏が登壇し、ラッコの発売に至るまでの経緯を語った。BYDが創業したのは1995年のことで、自動車事業への参入は2003年と若い会社であるが、電動化が進むなかで、もとはバッテリーメーカーという強みを活かして急成長。2025年度にはグローバルで460万台のNEV(新エネルギー自動車:BEV、PHEV、HEV、FCEVなどの総称)を販売。この数字は世界の並居るメーカーを押さえるトップだ。
日本市場には2023年に参入。2025年末まではBEVのみのラインアップという攻めの体制を敷きながら、2026年7月には販売台数が累計1万台を突破した。そうして日本国内でも販売ネットワークを広げるBYDが直面したのが、軽自動車への需要だった。劉氏はチームで全国をまわるなかで、「技術があるならば、生活の足である軽自動車を出してくれないか」という要望を、とくに地方部で多く耳にした。
それを受けて、軽自動車の開発に踏み切ることに決定したのが約2年半前。立ち上がった開発チームは中国を拠点としており、メンバーも当然現地のエンジニアが主体となるため、日本の生活などがわからない。そこで中国人エンジニアが自ら日本の地方部へ足を運び、スーパーマーケットや幼稚園など、生活と一体化する軽自動車の姿を研究したという。
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「いままでにない便利さを、いままでにない楽しさを、私たちの技術で、確実に日本のすべての皆様にお届けしたい。そういう思いでラッコの発表を迎えました。 ただ、発売して終わりではない。新たな始まりなんです。これからはラッコがどういう形で皆さんと一緒に暮らし、そしてこの元気な日本社会に貢献できるかが、大変楽しみです」と、劉氏は最後に思いの丈を露わにした。
BYDがラッコとともに日本市場へ向ける並々ならぬ気概は、その販売戦略からもうかがえる。ジャパンモビリティショー2025でその存在が明かされて以降、小出しで徐々に公開されてきたラッコの詳細だったが、最大の関心事である価格については今回の発表が初公開となった。
ラッコが掲げたプライスタグは、エントリーの「200」が214万5000円、「300Plus」が239万8000円、「300Premium」が249万7000円(いずれも税込)。そこに全グレード一律で国のCEV補助金が15万円受給できるため、実質的にはギリギリ100万円台スタートからという極めて戦略的な価格設定となる。
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参考までに、いくつかライバル車となり得るモデルを挙げる。直接競合となるモデルは存在しないが、軽BEVのカテゴリでは、日産サクラがエントリーのSグレードで244万8600円で、そこに補助金58万円が乗り、実質は約187万円。軽スーパーハイトワゴンでは、ホンダN-BOXのベースグレードが176万8000円となり、ラッコの「200」はそれらと十分に競合する価格帯といえる。10.1インチセンターディスプレイや両側電動スライドドアといった、国産勢のエントリーではオプションとなる装備が標準となるので、その競争力はかなりのものだ。
さらにBYD Auto Japan株式会社 代表取締役社長の東福寺厚樹氏によって、ロングラン新車保証(一般車両保証+バッテリーおよび高電圧部品などの保証)、月々19300円からの据置型ローン「ラッコ楽っとプラン」、常に車両がアップデートされる軽自動車史上初となる「SDV(Software Defined Vehicle)」の3本柱からなる「ラッコ楽」と呼ぶサービスも発表。現時点ですでに77拠点存在する販売ネットワークの日本全国へのさらなる拡充と併せて、本気で軽自動車市場を狙う。
発表会では、ラッコのブランドアンバサダーを務める女優の広瀬アリスさんが登壇。自動車のCM出演は今回が初となる広瀬さんは、じつはプライベートでも頻繁に運転するドライブ好きだという。撮影でラッコに乗った際の感想を尋ねられると、「あのフワッとした加速は乗った人にしかわからない感覚! めちゃめちゃ感動しました」と興奮気味。その後は「ラッコ楽ポイント」と称して、ハンズフリースライドドアの実演などユーザー目線でラッコのアピールポイントを紹介した。
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日本の軽自動車市場に「国産メーカー以外のクルマ」が本格的に食い込めるかどうか。ラッコはその問いに対する、これまででもっとも真剣な挑戦状といえるだろう。