この記事をまとめると
■日本の交通違反取り締まりには「物陰に隠れるなんてズルい!」という批判の声もある
■アメリカでは警察官が茂みに化けて「ながら運転」をしていたドライバーを取り締まった
■アメリカ警察の「迷彩服作戦」はわずか6時間で74人を摘発する成果をあげた
どこから誰が見ているか分からない
「物陰に隠れてスピード違反や交通違反を取り締まるのはズルい!」「見えない場所で待ち構えてるとは卑怯だ!」なんて日本の警察の交通違反の取り締まり方法に批判的な声をよく聞く。
交通違反を取り締まるために建物の影に潜む白バイ隊員画像はこちら
たしかに、パトカーが橋の下やカーブの先、白バイが交差点にある建物の陰などで隠れるように待ちぶせして違反車両を取り締まる光景は珍しくないし、万が一にもそのような方法で取り締まられたら、文句のひとつもいいたくなることだろう。だから、「もっと目立つ場所にいれば違反抑制や事故防止になるのではないか」という意見があることもわからなくはないが……。
しかし、世界に目を向けると、日本のやり方なんて”生ぬるい”と思えてしまうような交通違反取り締まりが行われていた。舞台はアメリカ・ニュージャージー州。現地警察が実施した交通違反取り締まりは、なんと警察官が「ブッシュ(=茂み)」になりすましていたのである。
ギリースーツで擬態した警察官画像はこちら
2026年7月末、ニュージャージー州ダネレン警察は、歩行者と車両の往来が多い市街地で、スマホを操作しながらクルマを運転する「ながら運転」の一斉取り締まりを実施した。そして、そこに配置された覆面警察官は、ギリースーツと呼ばれる全身を草木のように見せる迷彩服を着込み、本物の植え込みとわけがつかない姿で道路脇に潜伏したというのだ。
潜伏した警察官は、スナイパーよろしく息を殺して双眼鏡で前方を監視し、スマートフォンを操作しているドライバーを発見すると、近くで待機する警察官へと連絡。違反車両はその場で停止させられ、反則切符が切られるという仕組みだった。
また、別の警察官は、「NOT A COP(私は警察官ではありません)」なんて書かれたTシャツを着て道路脇に立ち、ドライバーを監視していたというから、もはやどこまでホンキでどこからジョークなのかわからない。
取り締まりをした警察官画像はこちら
そして、さらに驚くべきはその成果だ。わずか6時間の取り締まりで、スマートフォンを使用していたドライバー74人を摘発したというのだ。これはじつに、約5分にひとりのペースで捕まったドライバーがいたことになる。
取り締まりにあたったニュージャージー州ダネレン警察は、「歩行者が多いエリアだからこそ、ドライバーには前方へ集中してほしかった」と説明している。これほど徹底した取り締まりを行わなければならないほど、状況は深刻だったということだ。実際、アメリカでは、ながら運転による事故は依然として大きな社会問題となっており、2024年には3208人が死亡し、31万人以上が負傷したとされる。
ニュージャージー州ダネレン警察の交通違反取り締まり画像はこちら
じつは海外では、このような”変装取り締まり”は珍しい話ではない。
過去にはアメリカ・カリフォルニア州で警察官がホームレスを装って携帯電話使用違反を摘発した例や、ジョージア州では工事作業員に扮して交差点でスマホ操作を見張ったケースもある。さらにイギリスでは、一般車より視点が高い無地の大型トラックに警察官が乗り込み、高い位置から携帯電話やシートベルト違反を見つけ出す「Operation Tramline」が継続的に実施されているという。
イギリスの大型トラックを使った「Operation Tramline」の交通違反取り締まり画像はこちら
こうして見ると、日本の「物陰に隠れての取り締まり」は、世界基準ではまだまだ”優しい”といえるのかもしれない。
もっとも、ドライバーが本当に注意すべきは、「警察がどこに隠れているか」を探すことではなく、普段から交通ルールを守り、スマートフォンなどを操作する「ながら運転」をすることなく運転に集中することであることはいうまでもない。
日本の警察もいつこのような海外式交通違反取り締まりを導入するかわからないだけに、くれぐれもドライバーは交通ルールを守って安全運転に努めましょう。