パワー競争の先駆けはメカニカルチューニング
古今東西、パワーユニットは、クルマにとってもっとも象徴的な高性能の証となってきた。国産車は1963年(昭和38年)の第1回日本GPを契機にパワー競争を繰り広げるようになる。
第2回GPでポルシェ904と死闘を演じた2代目のプリンス・スカイライン2000GT-B。もともと1.5リッターの直4エンジンを積んだフロントノーズを延長し、グロリアのG7型2リッター直6SOHCをブチ込んだ。さらにウエーバーキャブを3連装。最高出力125馬力、最高速度180km/hの高性でマイカーブームに沸くファンの熱視線を集めた。
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電子制御のない完全メカニカルな時代。パワーアップの手法は排気量拡大、キャブレターの大口径化や多連装、あるいはガソリンのハイオク化などだった。
また、4サイクルエンジンのバルブ機構はOHVが一般的で、SOHCでもまだ贅沢だった。そんな時代に4輪日本初のDOHC搭載車、T360(なんと軽トラック!)を世に送り出したのがホンダだ。
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S500の改良版として登場したS600は、606ccのDOHCに京浜製キャブを4連装し、100馬力/Lに迫る57馬力を発揮。パワーピーク8500rpmの超高回転設計は、2輪レースで世界を制したホンダの面目躍如だった。さらに進化したS800では70馬力まで強化された。
ホンダは最後発で軽乗用車市場に参入したN360にも、4ストロークの高回転型エンジンを搭載。2ストロークが主流だったライバル勢を圧倒して、軽パワー競争の火つけ役となったのだった。
レースでも火花を散らしたDOHC vs ロータリー
1960年代後半になるとトヨタもDOHCモデルでスポーツカー市場に本格参入した。
その第1号は初の和製スーパーカー、2000GTだ。心臓部はクラウン用をベースにヤマハがヘッドまわりを開発した3M型2リッター直6(150馬力)。性能は最高速220km/h、ゼロヨン15.9秒と当時の世界最高峰を誇った。
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極めつけは3代目の日産(プリンスを吸収合併)スカイラインで登場した2000GT-Rだ。純レーシングカーR380用をディチューンしたS20型2リッター直6DOHCは、日本初の1気筒4バルブを採用。160馬力の圧倒的パワーを発揮し、ツーリングカーレースでは不滅の50連勝を達成した。
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1970年代に入って、サーキットでGT-Rに襲いかかったのがマツダのロータリー勢だ。1967年に2ローターのロータリーエンジン(RE)を世界で初めて実用化。コスモスポーツの10A型は1リッターにも満たない排気量(491cc×2)で110馬力の高出力を絞り出した。
マツダはその後、RE車を続々とリリース。12A型(573cc×2)は2代目ルーチェで130馬力を発揮。さらに排気量アップで出力を135馬力に高めた13B型(654cc×2)も投入された。
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レシプロ勢では日産フェアレディZも強烈な個性を発揮した1台だ。直6DOHCの名機L20型、そしてS20型(Z432)を積んでデビュー。1971年には北米向けの240Zが国内投入された。2.4リッターの直6SOHCは150馬力という出力もさることながら、21.0kg-mという当時としては異例の太いトルクで、ファンを大排気量スポーツの世界に誘った。
ターボでパワーを補完しDOHCもマルチバルブ化
1970年代にはトヨタ初の本格量産DOHCとなる2T-G型(115馬力)がセリカ/カリーナやカローラレビン/スプリンタートレノで登場。三菱もギャランGTO MRに専用の4G32型DOHC(125馬力)を搭載し、1.6リッターのパワー競争に参戦した。
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1973年(昭和48年)から排ガス規制が始まると、ハイパワー車は牙を抜かれ、あるいは姿を消した。しかし、各メーカーは三元触媒や燃料噴射などの電子制御技術で克服すると、再び高出力・大トルクの夢を追い求めた。
その萌芽は1979年(昭和54年)に日産の5代目セドリック/6代目グロリアに投入された、日本初のターボエンジンだ。2リッター直6SOHCターボは145馬力/21.0kg-mを発揮。このL20ET型は5代目スカイラインにも搭載された。
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トヨタもM-TEU型2リッター直6SOHCターボ(145馬力/21.5kg-m)で対抗。6代目クラウンやソアラに展開された。
1980年代に入ると、DOHCは本格的なマルチバルブの時代を迎える。先陣を切ったのは、またも日産だった。6代目スカイラインでは4気筒ながらS20型以来となる4バルブDOHCのFJ20E型2リッター(150馬力/18.5kg-m)のRSが登場。ファンを歓喜させた。
GT-R以降途絶えていた6気筒の4バルブDOHCを最初に復活させたのはトヨタだった。セリカXX、マークII3兄弟でデビューした2リッターの1G-GEU型は、可変吸気システムなどと相まってFJ型を上まわる160馬力/18.5kg-mを発生。ヤマハとの関係はこの”ツインカム24″でも受け継がれた。