変速の速さと効率を両立するデュアルクラッチ(DCT)
2ペダルで新たな手法として消費者に受け止められたのが、マニュアルトランスミッションを使いながら、変速時のクラッチ操作を自動化した方式だ。
ことに、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)が5世代目ゴルフに採用し、「DSG」と名付けたふたつのクラッチを使う方式は、他の欧州車だけでなく、日本車でも採り入れられた。一般的な呼称はDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)という。
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作動の仕組みは、エンジンとトランスミッションの間にふたつのクラッチを備える点にある。エンジン回転数と車速が上がると、1速側のクラッチが切られ、同時に2速側のクラッチがつながる。こうしてふたつのクラッチを交互に用いることで、2ペダルながら滑らかな加速を実現する。
DCTの採用が広がると、クラッチ1枚でも、自動クラッチ化したクルマも登場した。じつは、このシングルクラッチを自動で操作する仕組み自体は古くから存在しており、半クラッチ状態を用いて、滑らかな変速を実現しようとする工夫も加えられた。しかし、実際に運転すると、変速時に息継ぎをするような失速感があり、評価は上がらず、あまり広がらなかった。
それでも電子制御の技術が進歩するにつれ、その息継ぎのような加速の途切れが修正されていくようになる。例としてはフィアット500が採用したシングルクラッチの自動トランスミッションなどが挙げられる。
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変速機の歴史は電動化が終わらせる?
ところで、トヨタのハイブリッドシステムには歯車のトランスミッションを持たない。ではどうしているのか。
答えは、ふたつあるモーター/発電機のうちの一方を用い、その回転数を自動調整することで変速機能を持たせているのである。したがって感触としては、CVTのような無段変速だ。
また、電気自動車(EV)においては、基本的にトランスミッションは必要ない。ドイツのポルシェ・タイカンは高速域と低速域の2段変速を採用しているが、一般的なEVには必要ない。というのも、モーターは低速トルクがエンジンに比べはるかに大きく、それで発進・加速をこなせるからだ。
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電動化時代を迎え、EVが普及していくにつれて、トランスミッションの機能、あるいは「変速」という考え方そのものが、過去形になっていくかもしれない。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年2月号」の記事を再構成して掲載しています