660ccって中途半端じゃない? 4人乗りって規定もじつはない!? 日本で売れまくる「軽自動車規格」の謎 (2/2ページ)

規格拡大は難しい

 その際、メーカーからは600ccのようなキリのいい数字の提案もあったというが、軽自動車という税制などで優遇されるカテゴリーの排気量をあまり大きくしてしまうのは国民感情に反するという政府の見方もあったようだ。

 結果として、360の約1.5倍となる550ccという排気量上限に落ち着いたというのが定説だ。なお、550ccだった軽自動車規格が660ccになったのは、全長が3.3mになったのと同時だが、これは衝突安全性アップに伴う重量増に対応するというのが公式見解。あくまで重量が増えても同等パフォーマンスを維持することが狙いのため、1.2倍の増加にとどまったといわれている。

 その後、環境性能や衝突安全性能を向上させるボディサイズの拡大に対して、排気量アップを求める声もあったが、メーカーの技術力によってカバーすることで、冒頭で記した規格に落ち着いている。巷では「軽自動車規格を見直して、排気量を750ccに増やすべし」という声もあるが、こうした経緯を考えると、おそらくその実現は難しいだろう。

 また、将来的なカーボンニュートラルを目指す日本政府において、エンジン排気量を増やす政策はナンセンスといえる。軽自動車こそBEV(電気自動車)に移行すべしというのがカーボンニュートラル政策の実現に直結するという見方が本流であろう。

 現在の軽自動車規格においてBEVのモーター出力に「上限」は設定されていない。原付等と区別するための下限値(定格出力0.60kW超)が定められているのみで、出力の上限規定としては実質的に青天井となっている。

 現状、市販されている軽BEVの最高出力はどれも47kW(64馬力)の自主規制値となっているが、はたしてこの規制を破るモデルは出てくるのか。軽自動車規格の改正によって排気量が増えるよりも、こちらのほうが早く実現されるのではないだろうか。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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