走りの質感でHVを上まわるフォレスターのターボモデル
主役の性能をザッと確認した後に、続いてはフォレスターに乗ってみる。今回のモデルは1.8リッターではあるがターボであり、非ハイブリッドである。だが、それもフォレスターにとっては追い風のように思える。ラゲッジ下にバッテリーを搭載するS:HEVのフォレスターはリヤの重心が突出して高く、結果としてウエットにおける安定感が足りていないところがあったからだ。
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C型ではセンターデフのセッティング変更で克服したというがいずれにしても非ハイブリッドのほうが素直な走りだと感じている。
悪路走破性を重視したせいか、はたまたレヴォーグのように可変ダンパーを採用していないからか、フラット感が薄く、舗装路では前後左右にバタつくシーンはあるが、フワッとした乗り味が好きなユーザーには良いかもしれない。
ドライバーズシートはガラス面積が縦方向に広く、下方や後方の視認性が極めて高いことが特徴的。カメラ頼りにならず、取りまわしがしやすい。頭上の空間も十分にある。
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ミッションはCVTで静かに走らせているときには応答性もまずまず。だが、深く踏み込んだときには意図した以上に吹き上がるし、アクセルオフでも思った以上にトルクが抜けてくれないなど、リニアさにはチト欠ける。ブレーキは回生がないためか超リニア。ADASは扱いやすく自然で、しかもインフォメーションが理解しやすいところが好感触だ。
アーバンSUVのZR-Vは走りとデザインを諦めない
ZR-Vは都市型SUVど真ん中といった感覚。e:HEVを搭載し、基本的にモーター駆動で動いているために、スタンディングスタートからの俊敏さ、そしてリニアな応答で駆け抜けるところが好感触だ。なによりクーペライクなシルエットでスタイルも抜群。けれどもそこが使い勝手には響く。ファミリーで使うには後席が狭いし、ラゲッジもほかと比べれば……。
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だが、基本的にふたりで使うならアリ。内装も曲線美がありオシャレ。シャシーはホットハッチのような俊敏な乗り味が特徴的。走りを諦めたくないという人にはZR-Vがいいか。気になったのがADAS。制御がちょっと荒いため、思わずびっくりしちゃうことがあるかも!?
“最新”ではないもののこれで十分と思えるCX-5
3台比較をしてよくわかったのは、新型CX-5はSUVのド真ん中を突いたということだった。ZR-Vは明らかに都市型だし、フォレスターはオフロードを意識していることは明らかだ。
CX-5はアーバンSUVとしての立ち振る舞いを忘れず、家族でも使いやすいユーティリティ性能を持ち合わせ、悪路だって一応こなせるようには考えている。洗練された内外装デザインも施されていながら、それでいてリーズナブルな価格に収められているのだから、絶妙な位置にいるような気がしてくる。
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しかしながら、正直に言ってしまえば安さに理由があるのも事実なようで、たとえばパワートレインに感動するようなところは薄い。マイルドハイブリッド化されたとはいえ、エンジンの応答性は現代化されてはいないし、それに組み合わされるミッションが6速ATなのだから、ちょっとイマドキじゃないのも事実である。
ただ、それがネガティブな要素とは断言できない。電動化することだけが正義なのか? 多段化することばかりが良いことなのか? 昔懐かしの乗り味で何が悪い? ……むしろそっちのほうが感覚にフィットしていて好きだという人も多いことだろう。
CX-5に乗り終わり、帰宅して冷静になると、いつのまにか「足るを知る」という言葉が浮かんでくる。クルマって「これくらいで十分だったんだよ」と思えてくるのだ。もちろん、チープすぎてもいけないのだが、CX-5はそこが絶妙なサジ加減で成立しているように感じてならない。現代に通じる装備の最低限以上は盛り込みながらも、オゴらないところはオゴらないという割り切りがあると感じる。
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それは背伸びしすぎて行き場を見失いかけたラージ商品群があったからこそ誕生してきた姿勢ではないだろうか? まるで、すべてにおいて行きすぎてしまった現代のクルマたちに対する、アンチテーゼのようにも感じる。
そのスピリットこそCX-5の魅力ではないだろうか? 物価高に風穴を開けるがごとく登場したその心意気は、じつにマツダらしい1台。すでに持っている財産をうまくリメイクする上手さは、まさにお料理上手。まるで初代ロードスターのようでもある。
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※本記事は雑誌「CARトップ2026年8月号」の記事を再構成して掲載しています