「まさかマレーシアに……」新車販売トップ陥落でインドネシアのプライドに火がついた! 「反撃の自国ブランド」育成でトヨタ王国からの脱却を狙う

この記事をまとめると

■東南アジア新車販売首位をインドネシアからマレーシアが奪取

■マレーシアは国産2ブランドが国内販売の6割超を占める

■インドネシアでもポリトロンやALETRAといった自国ブランドが存在感を拡大中

「トヨタ王国」インドネシアに異変

 東南アジアにて自動車関連で思い浮かぶ国としては、タイとインドネシアを挙げることができるだろう。いずれも自国量産ブランドをもたないなか、日系や中国系メーカーの生産拠点を設け、自動車の供給だけではなく、経済成長を背景として自動車消費国としても存在感を高めている。

 とくにインドネシアは2.8億人という人口規模もあり、新車需要については有望市場として注目されている。東南アジア地域での新車販売台数でもトップを誇っていたのだが、2025暦年締めでの年間新車販売台数ではトップの座をマレーシアに明け渡して話題となっている。

 “東南アジア新車販売台数ナンバー1=マレーシア”となった状況に、インドネシアは過敏に反応している。人口規模もあり、インドネシアのひとたちは “自国=大国”という考えを抱いている。この大国主義も手伝い「マレーシアに抜かれた」というのは屈辱に近いものとなっているようである。

 マレーシアで使われるマレー語とインドネシア語は方言といっていいほど似ており、お互いの言語で会話が通じるレベルとなっている。また、お互いの国での正装はバティックと呼ばれる伝統的な織り柄の生地を用いたものとなるのだが、聞くところでは両国で柄が微妙に異なるという。このような関係なのでなにかと競うことはいままでもあったようだが、新車販売で抜かれたインドネシアの悔しさは途方もないものだったようだ。

 2024年にインドネシアでは新政権が誕生している。新政権では自国産業奨励ではないが、新大統領の専用車も自国ブランド車が使われるようになり、2025年のGIIAS(ガイキンド国際オートショー)では、会場コンコース脇ではあるものの、インドネシアブランドの「ポリトロン」が展示ブースを構え、正式展示棟内にはやはりインドネシアブランドとなる「ALETRA」がブースを構えていた。ポリトロンは中国・創維汽車系車両、ALETRAは中国ジーリー系車両をベースに自分たちのブランド車としてラインアップしている。

 国産ブランドを作る動きはマレーシアが1980年代後半から進めており、おもにダイハツ系モデルをベースとした車両をラインアップする「プロドゥア」と、2017年に中国ジーリー傘下となった「プロトン」があり、この両ブランドだけでのマレーシア国内での販売シェアは6割を超えている。今回マレーシアが新車販売にて東南アジアで新車販売ナンバー1となったのも、自国ブランド車の存在が大きかったことは間違いない。

 インドネシアも自国ブランドを基盤として新車販売を盛り上げようとしているように見えるが、「時すでに遅しといったところでしょう」との事情通の声も聞く。インドネシア販売ナンバー1のトヨタは販売ネットワークも強固なものとなっている。ある程度自動車産業が成長したいま、トヨタ並みの販売ネットワーク構築やラインアップの充実は困難なものといえるからである。

 そうはいっても、事情通は「ジャカルタ市内ではポリトロンのディーラーも見かけるし、近所で買ったひともいる」と、ジワジワとインドネシア車がきているとも感じているようである。大国主義で愛国心も高い国民性のインドネシアなのだから、王者日系ブランドの脅威となるのは中国車ではなくインドネシア車になるかもしれない。政府がマレーシアのように自国ブランドを積極的に優遇する政策をとれば、一気に流れが変わる可能性もある。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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