【ガチ比較】キックス・ヴェゼル・カローラクロス…… 国産人気SUVを乗り比べてわかった「本当の買い」 (2/2ページ)

燃費も走りも妥協しないホンダ魂を感じるヴェゼル

 キックスを基準として見たヴェゼルは、ホンダらしいスポーティさが際立っていた。試乗車が18インチタイヤを装着したFWDということもあるが、その乗り味はシャキッと頼もしく、カーブでは70kgほど軽いボディの俊敏さが体感できる。デビュー当時にBセグメントSUVとしてかなり大柄だったボディはいまやキックスに追いつかれてしまったが、後席の居住性は、いまだ一番よかった。

 そして何より燃費がいい。峠道を含む一般道は24.4km/Lをマークして断然のトップ。高速燃費も20.7km/Lと1位タイだ。その秘訣は、やや硬めな足まわりとタイヤがもたらすエネルギーロスの少なさと、高速巡航時における直結モードのおかげだろう。

 アクセル開度に協調させた直列4気筒エンジンの吹き上がりも気持ちよい。初期減衰力が高めなダンパーはGが高まるにつれ柔軟になり、131馬力のシステム出力をまるっと受け止めたうえで、挙動に一体感を生み出してくれる。それは燃費にも走りにも妥協しないという、熱血エンジニアの顔が見えてくるような走りっぷりだった。

パワーと燃費を両立したカローラクロスGRスポーツ

 コンパクトSUV界で圧倒的な売れ行きを誇るカローラクロス。イレギュラーだが今回は「GR SPORT」が選抜された。クロストレックと並んでCセグメントのボディ、そして2リッターの排気量を持つ直列4気筒ハイブリッドの走りは、システム出力も199馬力と、やはり一段パワフルだ。標準モデルより10mm以上低く仕立てられた足まわりは、ブッシュを含めてスポーティ仕立てだが、ヴェゼルよりもどっしりコシのある印象だ。

「E-Four」の制御はキックスほど明確に後輪をまわし込まないが、カーブでの挙動には安定感がある。ただし、さすがはカローラ、そしてGRと思わせるシャシーの落ち着きに比べ、最大熱効率40%を謳うエンジンの質感はバサバサとしており、そのギャップが激しい。

 しかし、だからこそ2リッターエンジンでも燃費は素晴らしく、街なかで20.9km/L、高速巡航でも20.7km/Lを記録。将来的に、もしRAV4 PHEVのような高剛性エンジンブロックが投入されたら、本当に隙がなくなりそうだ。

スバル独自のパワトレで余裕を感じるクロストレック

 しんがりのクロストレック S:HEVは、「小さな高級車」だ。フォレスターと同じ2.5リッターの水平対向4気筒を軸としたS:HEVのシステム出力は未公表だが、おそらくカローラクロスとほぼ同等で力強い。またプロペラシャフトで後輪を駆動する4WDは、タフなだけでなく前後の重量バランスもいい。そして、この性能を単なる速さではなく、質感に使っているのがいかにもスバルらしい。

 悪路走破性をも踏まえた足まわりはストロークフルでソフトだが、前述したボディバランスのよさから操縦感が自然だ。そして同じハイブリッドでも、EV走行率がカローラクロスより高く感じた。その燃費は一般道/高速ともに18.0km/Lと最下位だったが、1660kgの重量を考えれば上出来。そのぶん動的質感と本格4WD車としての性能が担保されている。

 総じてキックスだが、EV的な快適さのみならず、走りの質感も格上に迫る内容を得ていた。高速燃費は確かにイマイチだが、総合力ではかなりコスパが高い選択になると感じた。

※本記事は雑誌「CARトップ2026年10月号」の記事を再構成して掲載しています


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