トルクの出し方が素敵なV6ツインターボのジュリア 今回編集部が用意してくれたのは、AMG C 63S Eパフォーマンス、BMW M3、アルファロメオ・ジュリア クワドリフォリオのスポーツセダン3台。M3とジュリアは、2022年の夏に「峠賛歌」でドライブした。だがハイドロが起きるほどの激しい雨だったので、ドライ路面の今回で印象が変わるのか楽しみだ。
スパルコのカーボンバケットシートに身体を預け、まずはジュリアからスタート。2023年11月の仕様変更で、クワドリフォリオとして初のメカニカルLSDが搭載されたとスタッフから聞いた。
アルファロメオ・ジュリア・クワドリフォリオの走行 画像はこちら
走り出してすぐに”クルマが軽い”と感じたのは、2t近い車重を軽快に操ることができたためだろう。その車重を支える足はやや硬めだが、若い頃に車高調に乗った経験のある人ならちょうど良く感じられるはずだ。
コーナーを攻めてもロールがなく安定感はあるが、激しい雨のなかでは慎重にドライブする必要に迫られるだろう。
若干のターボラグがあるもののV6ツインターボエンジンはトルクの出し方がうまく、オレは気に入った。ジュリアにも多くの制御システムが採用されているが、いかにもイタリア車らしく、ドライバーがクルマを操ることを楽しませる余地を残している気がするな。
アルファロメオ・ジュリア・クワドリフォリオのエンジンと土屋圭市さん 画像はこちら
コーナリング性能に驚いたC 63S Eパフォーマンス 続いて試乗したのは、2023年10月に日本市場でも展開が開始された、AMG C 63S Eパフォーマンスだ。2リッター直4ターボエンジンとリヤアクスルを駆動する電気モーターによるPHEVで、システム総出力680馬力、最大システムトルク1020N・mという強靱さが特徴のひとつ。それでいて上質なインテリアは、やはりメルセデス直系ならではだ。
モーターによるアシストもあり、動き出しからスムースで、2t超えのボディをものともせずスピードを上げていく。足はやはり硬めだが、この車重を支えるのだから当然だ。ただしコーナーではしなやかにロールするところがジュリアとは違う。硬いけれどコーナーでロールさせることでフロントタイヤに負荷を与え、曲がるための仕事をさせている。これがメルセデスなんだよな。
メルセデスAMG C 63S Eパフォーマンスの走行 画像はこちら
AMGダイナミックセレクトを「スポーツ+」に変更してもその感覚は変わらず、舵を与えた瞬間にわずかにロールさせることでタイヤを使い、高い安定性を生み出している。
いつも言っていることだが、メルセデスは車重の使い方が本当に上手いと思う。それは重量級のクルマになればなるほど感じられるのが、このAMG C 63S Eパフォーマンスも同様。エンジン/モーターパワーの使い方、そこにバランスのいいサスペンションを組み合わせて、まるで重箱の隅をつつくかのようにクルマを仕上げている。とことん突き詰めて作った1台という感じで、本当に素晴らしいぞ。
メルセデスAMG C 63S Eパフォーマンスのリヤスタイリング 画像はこちら
今回は峠でのパフォーマンス点を付けるという指令が出たが、3台のなかでもっとも高い点数を付けた理由がここにある。
なめらかなストレート6に魅了されるBMW M3 最後はBMW M3。鮮やかなグリーンのボディカラーをはじめ、エクステリアのカーボンパーツ、ホイールから覗くゴールドキャリパーのカーボンセラミックブレーキなど、M3のハイパフォーマンスを全身で表したエクステリアだ。車重も3台のなかではもっとも軽い1800kg。ホワイトをメインカラーにしたインテリアもスポーティなイメージを加速させる。
BMWM3の走行 画像はこちら
足の印象としては3台中もっともしなやか……といっても硬質なのだが、初期入力をすべて吸収してくれるので身体に負担がない。
これはこれでありだが、パワステのアシストが強めなのか、ステアリングが軽く感じられ、路面から伝わってくるインフォーメーションがもう少しあればいいと思った。C 63S Eパフォーマンスの試乗後だったので、よけいに不利に働いたのかも。
BMW M3のインテリア 画像はこちら
このM3もロールはするのだが、ちょっと突っ張った感じもした。ここで突然思い出したのだが、この足の味付けは、いまの90型スープラ(DB型)の発売当初に似ている。M3に関してはその点が少し気になった。
エンジンはストレート6ならではの、なめらかなフィーリングが魅力的だ。ステアリングの「M1」スイッチを押し、アクセルを強く踏み込めば背中が蹴飛ばされるようにダッシュする。
BMW M3のエンジンと土屋圭市さん 画像はこちら
3台はいずれもブレーキは満点。エンジンではトルクの出し方でC 63S Eパフォーマンスがひとつ抜けていたと感じた。今回は3車3様のサスペンションの味付けで差が出たが、各ブランドのコンセプトが感じられるセッティングだったと思う。
3車3様のセッティングにドリキンも 酔いしれた【土屋圭市 峠賛歌】 画像はこちら
※本記事は雑誌「CARトップ2024年5月号」の記事を再構成して掲載しています