「じつは雨もホコリも入ります」それでもラリーカーのボディが穴だらけの理由 (2/2ページ)

競技に必要な機能を優先

──次にボンネットフードの両サイドに大きなダクトがレイアウトされていますが、これは何用の穴ですか?

小坂氏:エンジンルームの冷却用のダクトです。エンジンルームはフロントにラジエターやインタークーラー、オイルクーラーがレイアウトされていて、フロントバンパーから空気を取り入れて冷却していますが、その空気をボンネットの上から抜くような流れを作るためにボンネットにダクトを設けています。

──ボンネット内の熱気を排出するためのダクトですね。ダクトを大きくすると冷却性能が上がりそうですよね?

小坂氏:いえ、Rally2もJP4も開口面積は決まっていて同じサイズになっているので、勝手に大きくすることはできなくなっています。

──市販のBRZのボンネットにはエアダクトはないんですけど、やっぱりターボエンジンだとエアダクトは必要でしょうか?

小坂氏:エンジンルーム内の温度や水温、吸気温度などが変わってきますので、ラリー競技車にはボンネットのダクトがマストです。ちなみにWRX S4などターボ車のボンネットにもエアダクトがありますが、あちらはインタークーラーに空気を取れるためのダクトなので役割が違います。

──最後に、両サイドのウインドウにもスライド式の小窓があるんですけど、あれは何用ですか?

小坂氏:Rally2もJP4もそうですが、JN-1クラスに参戦している車両は軽量化のために、サイドウインドウはガラスではなく、アクリルになっています。当然、パワーウインドウの上下に開閉するシステムも外しているのでウインドウ自体はハメ殺しの状態です。暑いので外気を取り入れるためと小さいものに限られますが、モノの受け渡しもできるようにスライド式の窓を設けています。実際にコ・ドライバーはタイムカードの受け渡しで使っています。

 以上、簡単にラリーカーに設けられている“穴”の役割を解説してもらったが、ルーフベンチレーターは車種によって効果は異なっているようで、GRヤリスRally2を駆る新井選手は「GRヤリスは3ドアで風が抜けづらいことから、空気が入りづらいところもありますが、それでも涼しいです。VAB型WRXなどの4ドアセダンやシュコダ・ファビアの5ドアモデルはリヤドアの上部に空気を抜くための穴がレイアウトされていたので空気がしっかり入っていました」と語る。

 その一方で、ダストや雨も入ってくることから、新井選手は「ドライバーによっても変わってくると思いますが、僕の場合、SSでアタックするときはダクトを閉めていました」とのことだ。

 JN-1クラスのラリーカーは、巨大なダクトが設けられているが、それぞれに役割が異なっており、機能性を高めるためにレイアウトされているのである。

 ちなみにMSCCラリーin福島伊達では、トヨタGRヤリスの山田啓介選手がJN-3クラスで今季4勝目、トヨタGR86の山本悠太選手がJN-4クラスで今季4勝目を獲得。JN-5クラスではトヨタ・ヤリスの高岡威選手が初優勝、JN-6クラスではトヨタRAV4 PHEV GRスポーツの天野智之選手が今季6勝目を獲得している。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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