安全に対する新たなアプローチも生んだ
それに対し、衝突前に安全な走行を保つ技術がある。能動安全(アクティブ・セーフティ)だ。パッシブ・セーフティとアクティブ・セーフティの考えは、1966年にメルセデス・ベンツが提唱した。1970年にABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を発表している。ABSはブレーキを強くかけているときに進路を安定させる装置だ。ドイツの部品メーカーであるボッシュが開発を続け、メルセデス・ベンツが採用した。1978年に採用したABSは電子制御を採り入れ信頼性が高かった。
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ABSを装備すると、ESP(横滑り防止装置)が可能になる。4輪それぞれのブレーキ作動を個別に制御することで、エンジンの出力制御と組み合わせて駆動力を適切にタイヤに伝え、路面との滑りを抑える。こうして、旋回中に道路を外れる事故を予防することができる。欧州や日本の調査によれば、ESPにより単独事故が30~40%減るとのことだ。
ところでESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)はボッシュの商標で、一般名称としてはESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)と呼ばれることが多い。
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法令や規則にないことでも安全のためダイムラー・ベンツ社が採用した事例として、衝突事故を起こすとトランクリッドが自動で開き、裏側に備えた三角表示板が見えるようになり、同時にハザードランプを点灯する仕組みは、二次被害の防止に役立つ。事故現場を意識した取り組みは、ダイムラー・ベンツ社が、自動車メーカー自ら事故現場を調査することを1969年に始めたことで裏付けられてきた。
ほかにも今日の運転支援や自動運転に繋がる技術革新はさまざまに開発されたが、メルセデス・ベンツがそうした発展の先陣として行動する背景に、クルマ作りへの哲学があることを見逃すことはできない。冒頭の「最善か無か」は、その時代の最善の新車でなければ、無いに等しいという意味だ。
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ほかに、「シャシーはエンジンより速く」という姿勢もある。エンジンの馬力だけ大きなクルマは危険であり、常にシャシー性能が勝り、操縦安定性の確かなクルマでなければならないという意味だ。
走行特性では、「ニュートラルに近い弱アンダーステア」であることもメルセデス・ベンツの基本だ。最終的に「究極の実用車」をつくることをメルセデス・ベンツは目指しており、AクラスからSクラスはもちろん、SLやAMGなど含め、実用的であることを第一とする。メルセデス・ベンツのどの車種に乗っても、不安なく、安心して運転でき、かつ安全な理由がそこにある。