カギはタイヤの空気圧とサスペンションの減衰力にアリ
また、小林選手のウエットコンディション攻略術は4WDモデルにも共通しているようで、これまでに11回にわたって全日本選手権でタイトルを獲得するほか、2026年もGRヤリスを武器に好タイムを連発している津川信次選手も「ダンパーの減衰は調整しています。ドライに対して2クリック分緩めて、柔らかい方向に振って足をしなやかに動かすようにしています。初心者の場合、バネを柔らかくしたほうがコントロールの幅が減るので運転しやすいと思うけど、上級者は短いストロークでもコントロールできるので減衰だけ柔らかくすればいいと思う」と解説する。
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さらにマシンのレインセッティングについて「ハイドロを起こしそうな路面の場合、タイヤの空気圧を高くしています。空気圧を高くすることで、タイヤのトレッド面が丸くなって排水性が上がりますからね。あとは路面がザラザラしているようなコースは問題ないけれど、ツルツルになっているコースの場合もエア圧を高くしています。そうすることでタイヤの接地面積を減らして、ターンイン面積あたりの荷重を増やしてあげることでタイムがアップします。具体的にはドライで1.7kPaぐらい入れているのであれば、ウエットの場合は3kPaぐらい入れてあげたい。ドライならピーキーで走れないけれど、ウエット路面ではピーキーな特性が出ないので、コースの路面がツルツルで雨量が多く、気温が低いようだったら、思いっきりエア圧を高くしたほうがいいと思います」と付け加える。
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気になるドライビングのポイントにおいても「ウエットの場合、タイヤの排水性がいいのでタテ方向はすごくいいんですけど、横方向でGが加わると排水性が落ちてグリップが落ちますからね。そのために、タテ方向を意識してコーナリングする時間を減らすようにドライビングしています。コンパクトにまわって、アールを小さく走る。もともとステアリングはゆっくり切るようなドライビングだけど、ウエットはなおさらゆっくり操舵しているし、ウエットでアンダーステアやオーバーステアが出た場合、収束させるために時間を要するので、アクセルも繊細にしています。タテ方向は強いのでブレーキは頑張るけれど、アクセルとステアリングはより丁寧に心がけています」と津川選手は解説。
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事実、津川選手はこのウエット攻略術を実践することで四国ラウンドを制し、PN5クラスでチャンピオンに輝いた。
一方、ヤリスを武器に第7戦の鈴鹿ラウンドでPN1クラスのチャンピオンに輝いた朝山 崇選手は「路面がツルツルでハイドロを起こしやすいところは、タイヤのエア圧をあげています」としたうえで、「リヤの限界を上げてロール剛性を高めたいので、ウエットコンディションの場合、リヤを動かさないようにするために減衰を締めて、固める方向に調整しています。フロントはMAXに締めているので、これ以上は固くできないけれど、フロントが柔らかければ固める方向にもっていきたい」と語る。
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続けて「昔から“ウエットの場合、ショックは柔らかくしたほうがいいんでしょ”といったイメージがあるけれど、僕はコーナリングでもブレーキングでも、タイヤをどれだけ押せるかが重要だと思っているし、ショックを固くしたほうがタイヤを押せると思っています。タイヤに手応えがないと怖くなって運転できないし、僕の場合はアクションを起こしたときに、すぐにタイヤが反応する手応えが欲しいので、ウエットの際はショックを固くしています」と解説する。
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気になるドライビングに関しては「ウエットコンディションでは、全体的なスピードを抑えるということは基本ですが、イメージ的にはステアリングもアクセル、ブレーキも、すべてのコントロールに対して急な動きをさせないようにしています。イメージ的にはタテ方向を意識して走っていますが、ラインがずれてしまうとタイムロスになるので、ラインを外さないために、乱れそうなところはやわらかく運転しています。あとは路面に水溜りがあるのか、濡れて光っているのか、黒くなっているのか、路面をよく見ながら走っています」とのことだ。
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残念ながら朝山選手はパイロンペナルティを喫し、四国ラウンドは6位に甘んじたが、それでもウエットの大会で豊富な実績を残すことで独自の理論を証明している。
このように全日本ジムカーナ選手権は、急なウエット路面に対しても、パドックで行えるセッティング変更とドライビングのアジャストでタイムアタックを実施。スポーツカーのオーナーで雨の日にサーキットを走る場合は、これらのポイントを参考にしてウエットコンディションを攻略したいものだ。