※本記事は雑誌「CARトップ2024年4月号」の記事を再構成して掲載しています
強度は「壊れにくさ」で剛性は「変形のしにくさ」
新車のインプレッション記事などで「剛性が高い」「剛性が低い」といった表現をたびたび目にすることがある。僕自身、走行中の”剛性感”については重要視していて、感覚的な官能評価であっても言及するようにしている。
剛性が高いとガッチリした感覚が得られ、高速走行でも安心感を得られるものだ。ドライバーが感じる剛性感は車体だけでなく、サスペンションやマウントブッシュ系、タイヤからも伝わってくる。
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ここでカン違いしやすいのが”剛性”と”強度”の違いだ。剛性=強度ではない。学術的には剛性は「変形のしにくさ」を表していて、強度は「壊れにくさ」を表す。
我々が試乗して感じるのは剛性=変形のしにくさであって強度ではない。たとえば衝突試験のように、壁にクルマを激突させてボディ強度を試す試験はメーカーでは行われるが、当然、我々が試乗車をぶつけて破壊させることはできない。
では、ドライバーが感じ取る剛性感とは自動車のどのような部位から伝わってくるのか? それを知り、感じ取るためには、まず自動車の車体構造と応力の伝達経路を理解する必要がある。
モノコック構造=卵の殻で外殻は薄くても高剛性
まず車体構造から簡単に解説すると、現代の自動車の多くは”モノコック”構造を採用している。卵の殻はモノコックの代表的な構造例として語られるが、外側の殻が薄くても、開口部がいっさいなく、閉じられていれば、優れた剛性を得ることができるという特性を持っているのだ。
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もうひとつは”ラダーフレーム”構造のシャシーにキャビンの車体を載せる方式で、トラックやバスをはじめ、オフロードタイプのSUVなどにも多く採用されている。文字どおり、ラダーフレームはハシゴ状の金属製フレームで頑丈。強度を高く保つことが可能で、強い衝撃を受けた際にも壊れにくくできる。”ビルトインラダーフレームモノコック”と呼ばれる、モノコックとラダー、両者のいいとこ取りをした車体構造を採用したモデルも存在するが、製作に手間とコストがかかる。
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一般的な乗用車のモノコック構造(とはいえ、窓やドアの開口部は大きく開いていて、閉じた構造体になっていないが)は、じつは潰れやすい。これは、卵の殻の1点に穴をあけると、簡単に潰れてしまうことでも理解できるだろう。
さらに言えば、薄い複数の金属板を張り合わせて形づくっているため、接合部の強さが重要になる。”スポット溶接”によって部位ごとに接合するのが一般的だが、それだけでは十分な強度も剛性も得られない。打点を増やしたり、連続溶接を採用したり、あるいは特殊な金属用接着材を塗布して接合強度を高める技術が採り入れられているが、手間がかかるため製作コストが上がる。