【勘違いしてない?】クルマの「剛性」と「強度」は全く別物! プロが語るボディ構造の真実【ボディ剛性編:前編】 (2/2ページ)

全車同程度のボディ強度でないと本当の交通安全につながらない

 自動車メーカーは、まず衝突安全性を確保しなければならず、定められた基準を満たす強度に仕上げる必要がある。

 近年の新車開発では、コンパチビリティ=共存性が重要視されている。つまり、道路上で共存するあらゆる車両が、同程度の強度を共有し合うことで、衝突時に片方の車両だけが破壊されることがないように設計されているのだ。

 かつて、メルセデス・ベンツ車と国産車の衝突で国産車は大きく損傷してしまったが、メルセデス・ベンツ車はバンパーが傷ついただけだった、などとも言われた時代がある。結果、メルセデス・ベンツ車の乗員は無傷で、安全性の高いクルマとして認知されたが、国産車の乗員は大きなダメージを負うケースが珍しくなかった。

「それでは本当の交通安全につながらない」として、大型のメルセデス・ベンツ車と軽自動車がぶつかっても両車の乗員が無事であるようにと定められたのだ。

 しかし、公道では、より大きく、重いトラックやバスなども混在する。さらに運動エネルギーの理論によって、車速が高まれば衝突エネルギーも増す。仮に高速道路を逆走するクルマが現れれば、双方の速度が50km/hでも100km/hで衝突するのと同じ。衝突安全基準を満たしていたとしても、双方無事ではすまない。

 最近、大型トラックに前後からサンドイッチ衝突された全長3.4mの軽自動車が約30cmまで圧縮され、乗員が死亡するという痛ましい事故が報じられた。こうした事故でも乗員を守れるだけの強度を持たせることは現実的には不可能なのだ。

※本記事は雑誌「CARトップ2024年4月号」の記事を再構成して掲載しています


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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