クルマ好きには不評でも売れまくり! トヨタ・ルーミーが10年選手でも一般ユーザーに選ばれるワケ (2/2ページ)

トヨタという巨大企業のイメージもブーストされている

 また、スズキといえばやはり軽自動車のイメージが圧倒的に先行する。なので「クルマを買おう」から始まってメーカーを探す際に、「軽自動車はナシ」と最初に条件を出した瞬間にソリオに日が当たる率がガクッと下がる。いまどきネットでなんでも調べられるので、「安いコンパクトカー」とか調べればソリオも出てくるかもしれないが、正直存在感は薄い。ソリオがいいクルマなのは承知だが、スズキの主戦場は軽市場だ。

 それがトヨタであれば、イマドキの女子高生でも知っているはず。芸人が年末の特番でトヨタをネタに出して笑いを取れるほど、その存在感は圧倒的だ。そうなると、トヨタブランドの使い勝手がいいコンパクトカーとなれば、ルーミーに視線が向くのも自然な流れ。ダイハツには姉妹車でトールがあるが、「ほぼ同じクルマがダイハツでもあるけどどうする?」となれば、やはりトヨタに行くのが世間一般の心理だろう。オタク的には「いや、もとはダイハツ製じゃん!」となるのだが、一般ユーザーにとってはどこ吹く風。

 まだ売れる理由がある。それが、「ほとんどの人は遅いとか、直進安定性が悪いとか気にしない」ということだ。考えてみてほしい。とりあえずラーメンを食べようとした場合、たしかにアレコレ店にこだわるラーメンマニアも多いが、多くの人は近場にある手軽なチェーン店でとりあえず済ませるはずだ。ルーミーを選ぶ層も、そういった人が大部分を占めていると、実際にディーラーなどでも聞いたことがある。

 結果、「安いけど軽じゃなくて、使い勝手がいい新車ならなんでもいい」という人にとって、このルーミーはベストバイなのだ。「走らない」といえど、べつに最高速が60km/hしか出ないわけでもないし、仮に「直進安定性が悪い」としても、ステアリングが明後日の方向を向いているわけでもない。もちろん雨漏りしてくるようなこともない。スライドドアも便利だ。

 つまり、クルマとしての最低限の機能は備えているし、それでいてトヨタ車で安いとなれば、買わない手はない。筆者含むクルマオタクたちがあれこれ語るほど、一般ユーザーは気にしてクルマを買っていないのだ。要するに、余計なお世話というわけ。

 もちろん、価格だけに惹かれて買って後悔する人もいるかもしれないが、そういった人たちは次の買い替えのタイミングでこだわればいい。

 ルーミーは実際、1番安い「X」というモデルで183万400円〜、最上級のカスタムG-Tでたった231万3300円と、いまの新車価格の相場を考えたら破格だ。なんなら、ライバルのソリオはマイルドハイブリッドである点が武器だが、1番安いモデルが192万6100円からとなっている。スペックなどが揃ってないのでイコールコンディションではないが、「トヨタがライバルを本気で倒しにいくとこうなる」の典型例だ。排気量が1リッターと、自動車税が抑えられる点も嬉しい。さらに、ダイハツ製なのでトヨタ車のなかでは納期がかなり短いのもメリットだ。

 たまに、「ルーミーって超安っぽい」という声も聞こえるが、安いのだからそりゃそうだ。これが1000万円のクルマであれば文句が出るだろうが、ルーミーにいうのはナンセンス。なんでもオシャレ、高級路線に走りがちな新車市場なので、「生活に寄り添うクルマ」というのが、このルーミーの立ち位置だと考える。

 このように、ルーミーを改めて見つめ直すと、「とりあえず便利な新車が安く欲しい」という、クルマに興味のない人が多いといわれている日本人の大半に刺さる仕掛けが、これでもかと詰まっている。2026年で登場から10年目となるルーミー。そろそろフルモデルチェンジがあってもいい時期だが、このコンセプトは次も受け継がれるのだろうか?


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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