もちろん本格的な悪路走破性も健在
パワートレインは2.4リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボ(4N16)と新開発のスポーツモード付き8速AT。最大トルクは480Nm。WLTCモード燃費は12.1km/L、市街地9.4km/L、郊外12.0km/L、高速道路13.9km/Lとなる。アクセルを踏み込むと、ディーゼルらしい燃焼音が聞こえるものの、巡航中やアクセルオフではエンジン音もロードノイズも抑えられ、電動車を思わせるほど静かな場面がある。
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100km/h前後でも8速ATは1800rpm前後の低い回転域を保ち、変速ショックも少ない。電動化による瞬間的なトルク演出ではなく、アクセル操作に沿って滑らかに速度を伸ばす自然な応答が、むしろ新鮮で心地よい。前後ドアにも遮音ガラスを採用し、3列目まで会話ができる静粛性を目指したという説明にも納得できる。
駆動系の核は、三菱独自のスーパーセレクト4WD-IIとS-AWCだ。2Hは後輪駆動、4Hはフルタイム4WD、4HLcはセンターデフロック、4LLcはローレンジとセンターデフロックを組み合わせる。さらにNORMAL、ECO、GRAVEL、SNOW、MUD、SAND、ROCKの7つのドライブモードを設定。舗装路から砂地、泥濘、岩場、雪上まで路面に応じた制御を選択できる。
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S-AWCはフロントブレーキで左右輪間のトルクを制御するブレーキAYC、駆動力を最適化するASTC、ABSなどを統合。ブレーキAYCはブレーキ制御で左右輪のトルク差を生み、旋回を助けて滑りやすい路面での安定性を高めるが、アンダーステアを絶対に出さないという理念に沿って、減速させてでも曲げるという強力な制御となっていた。ブレーキには18インチの大径ローターと電動ブースターを採用している。
オフロード想定の特設コースでは、オンロードでの上質さを保ったまま、フレームと足まわりが本格的な走破性を支えていることを確認できた。最初のモーグルには高さ約30cmの起伏が連続する。対角線上に車輪が浮くような状況でも、前後サスペンションが大きく伸縮し、接地を保ちながらゆっくり進む。車体がねじられる場面でも、室内にギシッ、ミシッという異音は一切なく剛性感が高い。
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続く最大斜度45度の登坂では、ボンネット越しに先が見えなくなる。ここで役立つのがフロントアンダーフロアビューだ。画面で前輪前方の路面を確かめながら、駆動力を慎重にかけて登ることができる。S-AWCやヒルスタートアシストもドライバーの操作を支え、下りではヒルディセントコントロールが車速を一定に保ち、ブレーキ操作に頼り切らず低速で降りていける。姿勢と進行方向を把握しにくい斜面で、カメラと制御が安心を支える。
いまでは三菱SUVのお家芸ともいえる45度の登坂、じつはクロスカントリー系SUVでも他メーカーの多くのクルマが走破できない過酷な設定なのだ。登りはDレンジ、後退はリバースに必ず入れることで4輪制御を最大化できる。
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横方向に傾いたキャンバー路では、片側の車輪が浮くほど車体がねじれる。それでもフレームから不快なきしみ音は出ず、接地しているタイヤが路面をつかんで前進する。ローラーを使った対角スタックの模擬路では、通常モードでも空転した車輪にブレーキをかけ、LSDのように駆動力を接地輪へ伝えて脱出するROCKモードにすると空転輪をより積極的に制御し、アクセルを強く踏み込まなくてもクリープだけで前へ進める。
ドライバーは車輪ごとの作動を細かく操作する必要がなく、進路とアクセル開度に集中できるのだ。4LLcへの切り替えは停止してブレーキを踏み、シフトをニュートラルにして操作する必要があり、電動モデルだけで育った世代は初めは手順に戸惑うだろうが、確実な駆動状態を作るための機械的で伝統的な作法なのである。
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クロスカントリーSUVの価値は、未舗装路を趣味として走る人だけのものではない。大雨や自然災害で普段の道路が荒れたとき、冠水路に進入するのは避けるべきだが、段差やぬかるみを越えて安全な場所へ戻る余力は実用的な意味をもつ。あと少しの地上高や駆動力が帰路の安全を左右する場面は現代の異常気象下では全国どこにいても想像できる。
新型パジェロは、ラダーフレームと本格4WDを守りながら、静粛性、乗り心地、居住性まで高めた三菱の新しい旗艦SUVだ。舗装路では快適に長距離を走り、悪路では確かな接地と駆動力で前へ進む。その両立を走りで示す1台として、ふたたび世界で名を成すはずだ。
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