アジア生産で日本に導入の日本車ってぶっちゃけどうなのよ? 3台全部乗って付けた本音の通信簿 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日本車のなかには海外で生産され日本に輸入販売されているモデルがいくつかある

■とくに最近は中国やインド・タイなどのアジアで生産されて輸入されるモデルが増えた

■アジア生産で日本でも販売されているモデルの評価を再確認

日本車なのに輸入車扱いのモデルが急増

 日本の自動車メーカーのクルマでも、じつは海外で生産され、日本に輸入されているクルマがこれまでも、いまでも存在する。とくにアジアで開発、生産され、日本に輸入される日本車も少なくなくなっているのだ。それは中国であったり、インドであったり、タイであったりする。

 まずは1994年の初代デビュー以来、国産ミニバンのパイオニアとして君臨してきたホンダ・オデッセイだ。その5代目は2021年12月24日、クリスマスイブの日に日本仕様の生産を終了。およそ28年もの長い歴史、長い冒険旅行(オデッセイの意味)に、いったん、終わりを告げたのである。が、日本のミニバンブームの火付け役となったホンダのミニバンにはファンが多く、再発売の声が高まったのも事実(ホンダの社内からも)。そこで、5代目オデッセイを継続販売していた中国生産モデルを輸入し、5代目オデッセイの一部改良モデルとして、日本国内に再投入することが決まった。2023年12月のことである。

 復活した中国生産の5代目一部改良型オデッセイは人気のe:HEVアブソルートのみのラインアップで、パワーユニットは2リッターエンジン(145馬力、17.8kg-m)+モーター(184馬力、32.1kg-m)+CVT、駆動方式はFFの組み合わせのみ。グレードはベースのe:HEVアブソルート、中間のe:HEVアブソルートEX、最上級のe:HEVアブソルートEXブラックエディションの3タイプが用意される。なお、先進運転支援機能のホンダセンシングはすべてのグレードに惜しみなく標準装備されている。

 その走行性能は、出足は基本的にEV走行。EX以上の18インチタイヤではない17インチタイヤの装着でも、ズシリとしたパワーステアリングの操舵フィールはホンダのミニバンならではのスポーティなタッチを伝えてくる。言い方を変えれば、スポーツモデルからの乗り換えでも、納得しやすい乗り味、ステアリングフィールのもち主ということだ。

 乗り心地にしても、5代目初期型日本仕様アブソルートの硬さは薄れ、後席に乗る家族や友人からの「乗り心地が硬い」という印象も今は無縁といっていい。また、車内の静粛性も日本におけるホンダミニバンのトップレンジに相応しいものだ。

 動力性能に関しては全グレード同一だが、モーターパワーに余裕があるため、ストロングハイブリッドならではのスムースかつトルキーな加速力がもち味。前型e:HEVアブソルートになかったパドルシフト(減速セレクターと呼ぶ)を備え、スピードコントロールがしやすいだけでなく、オデッセイらしいスポーティな走りをもこなしてくれるのだから、走り好きのミニバンファンにとっては文句なしの仕上がりといっていい。

 では、オデッセイに中国生産車らしさを感じるのかだが、車体の中国生産を示す小さなプレート以外、その品質はかつて日本で生産された5代目オデッセイと変わるところはない。

 国産ミニバンのなかで、オデッセイの属するLクラスは(アルファードやエルグランドはLLクラス)ほぼ唯一の存在であり、またこれほどまでにスポーティに気もちよく走れるミニバンはそうはない。その意味では貴重な1台の復活といっていい。どこで生産されているかなど、乗ればまったく気にならない、どころか満足度の極めて高いミニバンといっていいだろう。

 もっとも、日本でのミニバンはアルファードに代表されるプレミアムなボックス型ミニバンと、ステップワゴンが属するMクラスボックスミニバン、フリードとシエンタがしのぎを削るコンパクトミニバンに人気が集中しているため、乗用車新車販売台数ランキングでは、2024年4月~2025年3月期で全体42位、1万1359台。2025年4月単月で全体49位、631台にとどまる。しかしそれが、クルマのよさとはあまり関係がないということも知っておいてほしい。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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