この記事をまとめると
■メカのストレスを減らす目的であればヒール&トゥもダブルクラッチもまったく不要だ
■そもそもヒール&トゥはシフトダウン時の荷重変動をなくすための操作
■ダブルクラッチもミッションのシンクロが元気なら実践する必要はまったくない
ヒール&トゥやダブルクラッチやはやったほうがメカ的にはいい?
趣味なんてものは、手間を省くと楽しみも減るもの。そういう意味では、新車販売の98%以上がAT車のこの時代、わざわざMT車に乗るというのはかなりの好きもの。
当然、ダブルクラッチやヒール&トゥなど、マニアックなテクニックにも心惹かれるものがあるだろうが、「メカのため」「ミッションを傷めず長持ちさせたい」というのが目的だとすれば、ダブルクラッチもヒール&トゥもはっきりいってまったく不要。
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勘違いしている人もいるかもしれないが、そもそもヒール&トゥはシフトダウン時の荷重変動をなくすための操作で、より強力なストッピングパワーを得るためや、ミッションのストレスを減らすためにやるものではない。
実際、DCTが普及する前のニュルブルクリンク24時間レースを見ていると、現地のドライバーはほとんどヒール&トゥなんて使っていなかった。ほとんどの人がブレーキを踏みながら普通にダウンシフトし、半クラッチを使うようにゆっくりクラッチをつないで、それでおしまい。
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耐久レースの最中でもこんな感じなので、少なくともミッションを長もちさせるために、街乗りでヒール&トゥをやる必要はゼロといっても過言ではない。
さらにいえば、いまの電子制御スロットルのクルマは、ブリッピング=空ぶかしの反応が不自然かつ鈍いクルマが多いので、ヒール&トゥが思いどおりに決まらないことも珍しくなく、かえってストレスがたまることも⁉
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それよりオートブリッピングにお任せしたほうが間違いない。機械式スロットルなら上手なヒール&トゥを決めることがドライビングプレジャーにつながるが、電子制御スロットルでオートブリッピング付きなら、オートブリッピング任せにするのが効率的。
ダブルクラッチはミッションのシンクロが元気なら必要なし。ミッションを長もちさせたいのなら、ダブルクラッチよりも暖気走行(暖機運転ではない)をしっかりやって、いいミッションオイルをこまめに交換。クラッチフルードも定期的に交換し、クラッチディスクも消耗しきる前に、キレのいいクラッチに交換するほうがはるかに重要。
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エンジンマウントやミッションマウントも定期的な点検を忘れずに。それ以外の目的なら、ダブルクラッチもヒール&トゥもご自由にどうぞ。