この記事をまとめると
■「真の歴代ベストドライバーは誰か?」とたびたび議論されることがある
■コンピューター上ではアイルトン・セナが最速というデータも出ている
■昔のF1ドライバーはキャラが立っていたこともあり印象に残りやすかった
史上最速のレーサーは誰だ!?
記録というものは、どんなに素晴らしいものでもいずれ塗り替えられる運命にある。コースレコードからはじまって、最多ポールポジション、最多優勝、最多チャンピオン……。
しかし、たとえ記録は塗り替えられたとしても、「真の歴代ベストドライバーは誰か?」となると、現役チャンピオンのマックス・フェルスタッペンや歴代最多105勝のルイス・ハミルトンを差し置いて、セナやシューマッハなど、往年のチャンピオンの名前を挙げるファンや専門家も多い。果たして誰が最速ドライバーなのか?
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時代も違えば、マシンも違うのに、ドライバーのパフォーマンスを比較するのは正直なところ難しいが、共通して対戦したことのある選手を媒介として、直接対戦したことのない選手間のパフォーマンスを比較することは、統計学上珍しいことではない。
F1でもこうした比較を行った例があり、F1とAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)は、マシンラーニング(AIの前身)を駆使して、予選セッションにおけるタイムアタック時のラップタイムをチームメイトと比較し、ドライバー間の相対差を数値化したことがある(2020年)。
その計算によると、歴代最速はアイルトン・セナで、2番目がシューマッハ。そしてハミルトン、フェルスタッペン、アロンソと続く。
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納得できるといえば納得できるが、速さという点では、「プロストやマンセル、ハッキネンやベッテルがもっと上位でもいいのでは?」と異論もある人がいるだろう。
そもそも1987年に、日本でもF1の地上波放送が始まったころは、マシンの信頼性も低かったし、シャシーの安全性も低く、まさにドライバーは命がけ(事実、セナは事故死してしまっている……)。
そんななか、闘志むき出しで走るドライバーは、各々キャラクターも立っていたし、ドライビングスタイルもずいぶん個性的だった。
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人間的にも、当今のドライバーに比べ品行方正とは言い難く、喜怒哀楽がはっきりしていて、口は悪いし、私生活はでたらめだったり、レースもえげつなかったり、ポカも目立って、ドライビングは超人的でも、人間味に溢れていて、そういう意味ではシンパシーを感じやすい面も、ファンの心を掴む要因だったかもしれない。
そんな個性的な面々がしのぎを削った時代にチャンピオンになったドライバーは、やはり印象が強いし、「速い」というイメージがひときわ強いのは確か。
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また、現役時代にいいライバルに恵まれたかどうかも、ドライバーの評価を大きく左右するだろうし、なにより、自分がF1ファンになりはじめた頃のスター選手は、生涯において永遠のヒーローになりやすい。
F1では毎レース、ファン投票でドライバー・オブ・ザ・デイを決めているが、誰が歴代最速、最強のドライバーなのかは、統計学でも、ファン投票でもなく、一人ひとりの主観で決めて、応援し続けたり、リスペクトし続ければいいのではないだろうか。