スバルの代名詞だからやめられないだけ? いやいや水平対向+AWDを長年採用し続ける裏には「安全第一」の思想があった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スバルは水平対向エンジンとAWDにこだわり続けている

■水平対向エンジンは優れた回転バランスや低重心により優れた走行安定性を実現しやすい

■スバルのシンメトリカルAWDは4輪にバランスよく荷重がかかり高い走破性を実現する

スバル水平対向エンジンにこだわる理由

 スバルが水平対向エンジンの生産を開始して来年で60年を迎える。1966年5月14日にスバル1000へ搭載されて以来、スバルのコアテクノロジーとしてなくてはならない存在だ。

 古くはトヨタやフォルクスワーゲンも採用していた水平対向エンジンも、現在では国産車はスバルだけ。世界的に見てもスバルのほかにはポルシェだけが採用し続けている極めてまれなパワーユニットである。

 スバルがなぜ水平対向エンジンにこだわるのか? それはこのエンジンが生まれながらにもつ特性こそが、スバルが考える理想をもっとも合理的に、そして高いレベルで実現できるものであるからだという。

 直列エンジンや、V型エンジンでは成しえない特徴として優れた回転バランスや、少ない振動。さらには低重心による優れた走行安定性に加え、衝突安全性能への貢献が主な特徴だ。

 もちろん、スバルが一度も水平対向エンジン以外を検討しなかったわけではない。新エンジンや新型車の開発タイミングでは直列エンジンやV型エンジンの新開発も検討された経緯があるが、最終的には水平対向エンジンのもつメリットが多く、採用はされなかったのだが、軽自動車やリッターカークラスにおいては、直列エンジンを自社生産し搭載していたこともある。

 水平対向エンジンは、クランクシャフトを中心に水平かつ左右対称にピストンを配置するため、直列エンジンやV型エンジンのピストンが上下方向に往復するのに対し、水平対向エンジンはピストンが横方向に往復。ピストン同士が互いの慣性力を打ち消しあうため、振動を抑えることができるのだ。

 また、一般的な直列やV型よりもエンジン全高が低く、低重心となっている。低重心になるということはクルマが安定し、ハンドリング性能が高まる。

 加えて、スバルの水平対向エンジンはスバル1000の時代からオールアルミ製。軽量・コンパクト・低重心というアドバンテージをもつ。これにより高い走行安定性とハンドリング性能を実現し、走りの楽しさに貢献しているのだ。

 そしてもうひとつ忘れてならないのが衝突安全性能。エンジン本体の全高が低いため、スバル車は前面からの衝突の際にエンジンが車体下へ落ちる構造となっている。これにより車室内へエンジンが入り込むことがなく、乗員を守るという水平対向でないと成しえない特徴もある。すべてにおいて安全が最優先される設計思想において、なくてはならない水平対向の特徴といえるだろう。


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