この記事をまとめると
■冷凍車は温度維持が重要で後部扉が基本的には利用される
■小口配送では横扉が有効となっており多くの場合助手席側に配置される
■横扉は荷室洗浄や通風に加え箱の強度向上にも寄与する
冷凍車の荷室横にあるナゾの扉
街に出れば数多くのトラックを目にする。とくに箱型の荷台を載せたトラックはその形状から目につきやすいため、自動車に興味がない人であっても記憶に残る存在であるだろう。そんな箱型のトラックには、当然のことながら荷室となる箱には扉が備え付けられている。
荷物の積み降ろしに使うための扉であるのはいわずもがなであるが、車体の後部だけではなく側面にも扉がついているトラックを見たことがないだろうか。むしろ、後部と側面に扉が装備されているのが一般的なスタイルなのだが、それらの扉はどのような場面で活用されるのだろうか。ここでは冷凍車を例に、その活用法を解説したいと思う。
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冷凍車とは、冷凍冷蔵装置を備えつけた箱を搭載したトラックのことを指す言葉。アイスクリームや冷凍食品、そして野菜や鮮魚などの食品を運ぶ現場で活用されている。それゆえに、荷室内の温度を上げることはできるだけ避けなければならない。
冷蔵庫などで行われる荷物の積み降ろしは基本的に後部の扉からとなるのだが、外気による温度上昇を防ぐために、バースと呼ばれる場所にトラックをバックで接車して荷物を積み下ろす。ならば、箱の側面に備えられている扉は、どのような場面で使用されるのだろうか。
メインとなる使い道は、もちろん荷物の積み降ろし。道路脇に停車して荷物を積み降ろしする小口配送などでは、側面の横扉が有効となる。そんな横扉を箱の左右に装備している車両も存在するが、助手席側のみに設置されるのが一般的なスタイル。それは安全面を配慮したもので、日本は左側通行であるために助手席側に扉が装備されているのだ。狭い場所にも対応でき、かつ荷物の量によっても重宝される存在となっているのである。
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そして、箱の内部を洗浄するときにも、横扉が意外にも役に立つ。後部と横の扉を開け放つことで風が通りぬけるため、箱の内部が乾きやすくなるのだ。さらには扉の枠組みが存在することで、箱側面の強度を高めるという効果をもつ。これは天井の一部分がガラスになった、乗用車のサンルーフにも相通じるものがある。
屋根をわざわざくりぬいてガラスを嵌めるという構造であるため、一見すると強度がなくなるように思えてしまうだろう。しかし、サンルーフ用のレールや補強が加えられているため、通常よりもルーフの強度が高くなっているというのだ。トラックも同じように、横扉が設置されているほうが強度が高くなっていると考えられるのである。
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仕事に使う車両には、その業務内容に適した架装が施されている。それゆえに、日本には多種多様のトラックが存在しているのだ。その部分に着目しながら、トラックのことを研究するのも楽しいかもしれない。