この記事をまとめると
■2019年よりトラック2台分の荷物を1台で運ぶダブル連結トラックが導入されている
■ヤマト運輸がダブル連結トラックの自動運転化の実用化を視野に目指している
■自動運転ダブル連結トラック構想は多くの問題の解決策のひとつとして期待されている
物流大手のヤマト運輸が目論むダブル連結トラックの自動運転化
「物流の2024年問題」を解決する輸送手段のひとつとして、2019年の導入開始以来、運送会社各社での採用が進んでいるダブル連結トラック。通常の大型トラックにほぼ同じ大きさ(25m以内)のトレーラーを連結。1台でトラック2台分の輸送能力をもちつつ、けん引するトラックが1台になることにより、およそ4割のCO2削減効果も期待できるという画期的な車両だ。
ダブル連結トラックのフロントスタイリング画像はこちら
2024年10月29日に富士スピードウェイで開催された「ジャパントラックショー in Fujispeedway 2024」でも、日本トレクスによるダブル連結トラックの体験試乗会が同サーキットのショートコースで行なわれ、多くのトラックドライバーがその操作を体験し、好評を得ていた。
そんなダブル連結トラックを、物流大手の「ヤマト運輸」が自動運転化し、国内幹線運送にて実用化することを視野に入れているという。
前述のとおり、現在ダブル連結トラックは2019年に稼働開始し、トラックの自動運転化(自動運転トラック)は高速道路におけるレベル4(高度運転自動化。特定の走行環境のもとでシステムが車両の全操作を行う、無人走行が可能な自動運転)のトラックの実用化に向けて社会実験が行われているが、このふたつのシステムがセットになった「自動運転ダブル連結トラック」は、まさに物流業界の今後に向けての最強のインフラになることだろう。
東名高速での自動運転トラックの実証実験画像はこちら
このヤマト運輸の自動運転ダブル連結トラックへの取り組みは、2025年7月に国土交通省が開催した「第3回2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」にて、同社の小菅泰治会長が発表した資料によって明らかにされた。その資料によると、自動運転トラックは現行車両より明らかに高価格になることが想定されるため、1台あたりの輸送能力の強化が必要であるとされている。
その解決策としてヤマト運輸が視野に入れているのが、自動運転ダブル連結トラックの活用と、トラックがけん引するトレーラー部への駆動装置の搭載だ。このトレーラーの駆動装置をEV化し、フロントのトラックの駆動だけでなく、中間部にあたるトレーラーにもその馬力を分散することで、より効率的でエコなトラックの運行を目的としている。
ダブル連結トラックのリヤスタイリング画像はこちら
この自動運転ダブル連結トラックの実現に向け、同検討会で小菅会長は駆動装置を有するトレーラーの保安基準の明確化や、幹線自動運転領域のダブル連結および駆動装置搭載型トレーラーの標準化を要望している。
ヤマト運輸はこれまで、自動運転を支援するデータ連携システム開発に向けた新東名高速での走行実証実験を複数の企業と合同で行うなど、自動運転トラックの実現に向けた取り組みにも深くかかわっている。20mを超えるダブル連結トラックを無人化(自動運転化)するのは、現在の自動運転トラックの実用化よりさらに高度な技術開発が求められるが、それが実現すれば、2024年問題はもちろんのこと、その後に起こると予測されている「2030年問題」の有効な解決策になることはもちろん、日本の、いや世界の物流がさらに飛躍的に発展するはずだ。