スバルがS耐に送り込んでいる「ハイパフォX」が最終戦で大幅アップデート! 4時間をノートラブルで走りきり2025年の目標も達成 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■第7戦「S耐 FINAL 大感謝祭」が11月15〜16日に富士スピードウェイで開催

スバルはアップデートした「High Performance X Future Concept」を投入した

■2025年シーズンは目標も達成しほぼトラブルもなく完璧なシーズンであった

ハイパフォXがS耐の最終戦に挑む

 ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第7戦「S耐 FINAL 大感謝祭」が11月15〜16日に静岡県の富士スピードウェイで開催されました。

 スーパー耐久未来機構(STMO)が認めた車両が参加できるST-Qクラスに参戦するTeam SDA Engineeringからは、「スバル High Performance X Future Concept(以下:ハイパフォX)」も参戦し、ST-Qクラス2位、総合19位でチェッカーを受けました。

 今シーズンは開幕戦をスキップ、第2戦の鈴鹿サーキットから参戦を開始し、第3戦富士24時間レース、第4戦菅生4時間と戦い、第5戦オートポリス、第6戦岡山大会をスキップして、最終戦の第7戦富士に挑みました。参戦ごとにアップデートを繰り返しているなかで、今大会は2戦連続スキップしたところで車両を大きくアップデート。

 まずはエンジンのパワーアップ。吸気・排気カムをハイリフト化、高出力対応インテークマニホールドの採用、ハードの変化にともなう制御の最適化を行いました。これにより高出力化を果たし、325馬力から364馬力にパワーアップ。ストレートでのトップスピードの改善を狙ったほか、今季から導入されているENEOSの低炭素ガソリン(E20)対応にともなう、出力低下分を補うことを狙っています。また、FA24ターボエンジンの将来技術として資産化していく目的もあるとのこと。

 次に、電子制御LSDの制御を改善し、さまざまなシチュエーションにおけるLSD締結力を最適化。旋回性とトラクション性能の両立を狙っています。この締結力の最適化を行ったことで、いままではLSDがスリップを検知してから締結力をアップしていましたが、「スリップしそうだな」というギリギリの状態を検知したところで締結力をアップさせるよう制御を変更、コーナリングなどの旋回性能が引き上げられています。

 また、アルミフロントクロスメンバーを採用したことで、複数部品の締結構造を一体化し、車体とサスペンションの間の剛性連続性を改善。回頭性向上と高G域でのアンダーステア改善を狙います。さらに、リヤサスペンションと車体間の補剛強化で、リヤの接地感を向上させています。

 さらに、ドライバーが直接触れるスイッチパネル、ステアリングスイッチの配置を変更して、使いやすさを向上させドライバーが運転に集中できる環境構築を目指しました。

 これらのアップデートの効果もあり、練習走行から良い走りを見せてくれてレースにも期待できます。

 今大会はST-5F・ST-5Rクラスを除く8クラスと、今大会で特別枠として設けられたST-USAクラスを合わせ、全9クラス57台が参加しました。

 予選はST-X、ST-Z、ST-TCR、ST-1、ST-Qの一部のグループ1と、ST-2〜4とST-Qクラスのグループ2に分けて行われます。ハイパフォXはグループ2に入り、ST-2やST-3クラスとタイムを競うことになります。

 改めてクラス分けを説明すると以下全9クラスになります。

・ST-X:本年度、FIAよりホモロゲーションが発行されているFIA GT3公認車両、及びGT3規格に準ずる車両

・ST-Z:本年度、SROよりBOPが発行されているGT4公認車両、及びGT4規格に準ずる車両

・ST-TCR:本年度、FIAまたはWSCよりBOPが発行されているTCR規格車両、及びTCR規格に準ずる車両

・ST-Q:他のクラスに該当しない 、STMOが認めた開発車両

・ST-1:以下のST-2~ST-5以外の車両

・ST-2:2400cc~3500cc迄の4輪駆動車両、及び前輪駆動車両

・ST-3:2400cc~3500cc迄の後輪駆動車両

・ST-4:1500cc~2500cc迄の車両

・ST-5F:1500cc未満の前輪駆動車両

・ST-5R:1500cc未満の後輪駆動車両

 ハイパフォXは開発車両ということでST-Qクラスになっていますが、ベースとなっているWRX S4で参戦すると仮定すると、ST-2クラス相当になります。

「ST-2クラスの前を走る」というのが今シーズンの目標と、チームは語ります。このST-2クラスにはホンダ・シビック タイプR、トヨタGRヤリス、三菱ランサーエボリューションXがエントリーしており、量産車においてもライバルになる車両たちが走っているクラスです。ハイパフォXは開発車両とはいえ、負けたくないライバルたちと言えます。


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