この記事をまとめると
■SUPER GTは有事に備えて「FRO」という組織を有している
■クラッシュなどが起きた際にドライバーの救援や車両の移動を担う
■FROが使う車両として新たに日産の「パトロール NSIMO」が加わった
ひと足先に話題のフルサイズSUVがサーキットを駆け抜ける
多くのスポーツには、残念ながら怪我のリスクが伴う。その怪我も、自分が原因となる怪我もあれば、相手に負わされる怪我、不慮の事故で起こる怪我などさまざま。100%防ぐことは難しい。よって多くの競技、それも大会規模が大きければ大きいほど、ドクターをはじめとした医療関係者がスタンバイしている。
それはモータースポーツの世界でも同じだが、モータースポーツはクルマを使って行われるのはもちろん、スピード域も我々が生活を送る際の常用域をはるかに超越している。もちろん車両やコースにもよるが、200km/hどころか300km/h近くの速度で駆け抜けることも珍しくない。そんな速度域でもし何かあれば……いくら金属よりも強度がある最新のカーボンモノコックボディとはいえ、大惨事になる可能性が高いことは容易に想像できるだろう。
SUPER GTでクラッシュした車両のイメージ画像はこちら
しかも、サーキットとなれば全長数キロにも及ぶので、ドクターが駆けつけるにも、そう簡単ではない。とはいえ有事の際は一刻を争うので、クラッシュなどが起きた際は迅速に現場に向かう必要がある。まさに緊急出動だ。
出動はないに越したことはないが、レースは何があるかわからないのが実情だ。そんなとき頼りになる組織が、国内最大規模かつもっとも人気の高いモータースポーツであるSUPER GTを運営する、GTアソシエイションが抱える組織、「ファースト・レスキュー・オペレーション(以下:FRO)」だ。SUPER GTや併催されるレースで主に活動している。
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なお、このFROという組織、ドクターなどを現場に運びドライバーの救助を行うほか、車両のコース外撤去や牽引、火災があった際の初期消火なども担当することになっており、文字どおり”ファースト・レスキュー”というパートを担う。ステアリングを握るのはレース経験などが豊富なベテランが担い、応急処置や車両関係の対処を行う人、そしてドライバーを手当するドクターが乗車する。
FROが所有する機材のイメージ画像はこちら
さて、前置きが長くなったが、そんなFROによるレースの安全管理を担う重要車両に、このたび新入りが加わった。それが、2027年前半を目処に日本導入がジャパンモビリティショー2025で発表された、中東などで絶大な人気を誇る、日産のフルサイズSUV、パトロールだ。そのパトロールのなかでも、もっともハイパフォーマンスなスペックをもつ「パトロール NISMO」が、SUPER GTを開催する全国6つのサーキットに、2026年シーズンより配備される。
日産 パトロール NISMO(FRO仕様)画像はこちら
「パトロール NISMO」は、専用チューニングを施した、最高出力495馬力、最大トルク700Nmを発生する3.5リッターV6ツインターボエンジンを搭載するほか、空力性能を追求したエクステリアや専用サスペンションと組み合わせるモデルで、オフロード性能のみならず、オンロード性能も突き詰めた1台。
なお、「パトロール NISMO」をFROが導入するのは2モデル目で、2019年から2025年シーズンまでは、先代型の「パトロール NISMO」を使用していた。SUPER GTを見たことがある人は、コースや映像で1度は見たことがあるだろう。ちなみにこのパトロール、近くで見ると超巨大で迫力満点である。
日産 パトロール NISMO(FRO仕様)※先代モデル画像はこちら
先述したように、FROはドライバーの救護だけでなく、車両の移動も担うので、現場に急行できる程度の速さはもちろん、砂が深いサーキットのグラベルに突っ込んでいき、車両を引き出す悪路走破性と大パワーが求められる。なので、「パトロール NISMO」のようなハイパワー4WDが必要不可欠なのだ。
日産 パトロール NISMO(FRO仕様)画像はこちら
このほかにもFROはポルシェ・カイエンやトヨタ・ランドクルーザープラド、スバル・レガシィアウトバックなどを保有し、SUPER GTを支えている。なお、この「パトロール NISMO」は、オーテックやNISMOブランドのクルマを扱う、日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)が手掛けるとのこと。
日産 パトロール NISMO(FRO仕様)のシフトコンソール画像はこちら
いよいよ2026年シーズン開幕まで1カ月を切ったSUPER GT。GT車両やドライバーももちろん見どころだが、レースを支えるFROの新型車両にもぜひ注目してほしい。そしてなによりも、パレードラン以外で出番が1度もないことを、1レースファンとして願わずにはいられない。