この記事をまとめると
■クルマについているブレーキキャリパーは重量がある
■可能であればキャビン寄りについているほうが好ましい
■クルマの構造上キャビン側につけられない場合は前側についている
ブレーキキャリパーの位置が車種ごとで違う理由
ブレーキキャリパーとは、ディスクブレーキで、ブレーキを掛ける際に油圧でブレーキパッドを押し出し、ディスクローターを挟みこんで摩擦を生じさせ、減速させる、パッドを組み付けた部品をいう。
スポーク式のアルミホイールを装着したクルマでは、スポークの隙間から三日月状のブレーキキャリパーを目にすることができる。その際、ことにブレーキ銘柄で有名なキャリパーを使っている場合は、キャリパーに派手な色遣いが施され、目立つようにしている例もある。スポーツカーや、高性能車で見かけるのではないか。
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ところで、ブレーキキャリパーの取り付けられている位置が、クルマの進行方向に対し、前よりである場合と後ろよりである場合があることに気づいただろうか。あるいは、前後のタイヤで取り付け位置が同じ場合と、逆になっている場合も見受けられる。それはなぜだろう?
まずブレーキキャリパーは、タイヤと同じ回転でまわっているディスクローターを摩擦材(ブレーキパッド)で挟み込み、回転を止めようとする部品なので、かなりの強さが求められる。したがって、一般的な乗用車では鋳鉄で作られている。
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一方、ブレーキ装置は、一般にバネ下と呼ばれる機能部品で、タイヤ/ホイールと同じようにサスペンションの先に付く重量物なので、軽いほうがサスペンションの動きを妨げにくい。そこで、スポーツカーや高性能車では”より軽く”という目的で、アルミニウム合金製となっている場合がある。
とはいえ、高速からのフルブレーキにも耐える強さ(剛性)が必要なので、いずれにしてもクルマの構成部品のなかでは重いパーツのひとつといえるだろう。

それであるなら、より車体の中心に近い配置にしたほうが、前後重量配分を改善し、旋回性能に優れたクルマにしやすい。重量配分の視点からすれば、前輪側はキャビン寄りの後ろ側、後輪側もキャビン寄りの前側に配置するのが理想だ。
しかし、ことに前輪側については、ブレーキ装置が取り付けられるハブに、ハンドル操作を伝えてタイヤを左右へ向けるステアリングラックの先のナックルという部品が取り付けられ、ステアリングギヤボックスの配置次第では、ハブのキャビン側にナックルが取り付けられる場合がある。こうなると、キャビン寄りにブレーキキャリパーの取り付けができなくなるので、客室と反対側となる前よりにキャリパーが配置されることになる。
ブレーキキャリパーの取り付け位置が前側と後ろ側に分かれている理由とは画像はこちら
ステアリングギヤボックスの位置は、エンジン搭載の影響や、サスペンションアームの配置などと関り、それらと干渉しない空間を探して取り付けられる。ブレーキキャリパーの取り付け位置を優先することが難しい前提条件となるのだ。
後輪側も、たとえばマルチリンク式を採用するなど、アームの数が多い形式では、ハブ側の取り付け位置や、アームの向きなどによって、ブレーキキャリパーの取り付けに影響が及ぶ場合がある。
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ボンネットフードを開けてエンジンルーム内を覗いてみたり、あるいはリヤサスペンションの形式や配置をクルマの後ろから覗いてみたりすると、制約のある空間にさまざまな部品が組み込まれている、設計の苦労の跡を垣間見ることができる。そうしたなかで、ブレーキキャリパーの取り付け位置が決められるのである。