この記事をまとめると
■日産フェアレディZには7台しか売れなかったといわれる限定車があった
■「Type E」は全日本GT選手権へ参加するためのホモロゲーションモデルだった
■同じ時期に同じ価格で「フェアレディZ S-tune GT」というモデルも販売された
全日本GT選手権のホモロゲーションモデルがあった
「レーシングカーを公道で乗りたい!」……重度のクルマ好きであれば一瞬でも考えたことがあるはず。ない人はこの時点で話は終了なのでまわれ右。
とはいえ、レーシングカーといっても種類はいろいろある。手軽に参加できるジムカーナ用の車両であればナンバー付き車両は多いし、ヤリスカップやGR86/BRZカップ、ロードスターパーティレース用のマシンであれば、ナンバー付き車両であることが条件となっている。この手のモデルなら比較的手を出しやすい。
しかし、ここでいう「レーシングカー」は、やはりモータースポーツの花形、WECやSUPER GT、WRCといった大舞台で活躍する完全なレース用マシンだろう(「公道でF1に乗りたい!」という人はほとんど聞かないのでフォーミュラカーは除外)。いわずもがな、筆者もそのひとりである。
実際レース会場はもちろん、イベントに行けばSUPER GTやWRCなどの車両と同じデカールなどを愛車に貼った、レプリカ車両を見かけることがよくある。
レプリカ車両が集まるオフ会画像はこちら
とはいえ、それらはどうやってもレプリカ止まり。たまに本物のGT車両から外されたパーツを流用しているクルマもいるが、それも一部に手を入れる程度が限界だろう。
しかし、そんな「どうしてもレーシングカーに乗りたい!」という人、とくにSUPER GTファンに激推ししたいスペシャルなクルマがかつて日産から出ていたのだ。
それこそが、2004年1月から1カ月の期間限定の受注生産で販売されていた、「フェアレディZ Type E」である。
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ではなぜこのクルマがSUPER GTファンに対して激推しなのか。それはこのType Eがもつエクステリアにある。この型のフェアレディZをご存じの方ならすぐわかると思うが、この「Type E」、量産車とは明らかに違うバンパーが取り付けられており、前後のオーバーハングが極端に長いのが最大の特徴だ。
数値にすると、フロントはベース車(バージョンS)と比較して+180mm、リヤは+135mmとなる。サイドフィニッシャーも追加され、こちらは+25mm。とはいえ、なぜこんなにも長くなってしまったのか。そこにはSUPER GTの前進、全日本GT選手権の存在がある。このときの日産は、全日本GT選手権のGT500にいままで投入していたスカイラインGT-R(R34)から、フェアレディZにスイッチした最初のシーズンであった。このタイミングに合わせて登場したホモロゲーションモデルが、この「Type E」であった。
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ちなみにホモロゲーションとは、そのレースに出場するために必要な自動車の型式認定のことで、「決まった期間に何台以上つくらないければならない」とか、「1台以上公道を走れるモデル作らないといけない」など、細かいルールがある(レースによって内容は異なる)。
当時の全日本GT選手権のルールでは、「ホモロゲーションを受けた車両(市販車)についていないパーツを使ったら車両規定違反」となっていた。そしてこのZ33は、ベース車が前後オーバーハングを短くしたスタイリッシュなクーペとなっていたせいで、レースで必要なダウンフォースを稼ぐのが困難であったという。そこで、前後のオーバーハングを強引に伸ばしたボディにして、空力(ダウンフォース)を稼げる「Type E」を無理矢理設定して、全日本GT選手権のホモロゲーションを獲得したというのが、「Type E」設定の背景といわれている。レースに勝つためにスカイラインGT-R(R32)を作ったときのように、レースに全力投球した1台だったのだ。
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ちなみに「E」には「Extremity(極限、末端)」や「Extended(延長)」という意味が含まれているそう。余談だが、ホンダも2005年にNSX-R GTという、5000万円もする、限定5台中1台しか売れなかった幻のホモロゲーションマシンを市販している(とある大企業の社長が買ったとか)。