この記事をまとめると ■1980年のアップルカラー935は名作として語り継がれている
■2026年にポルシェ963でリバリーが現代に復活
■各メーカーの記念と特別な舞台が重なり実現した企画だ
傑作デザインがまさかの復活 レーシングカーのカラーリング(リバリー)の歴史のなかで、スポンサーとマシンの組み合わせが語り継がれる名作は数多い。マールボロとマクラーレン、マルティーニとポルシェ、JPSとロータス。そうした伝説的な存在よりは目立たないが、多くの人の記憶に残る名作として1980年に登場したアップル・コンピュータのカラーリングをまとったポルシェ935 K3がある。
伝説の“アップル×ポルシェ”が復活 画像はこちら
ディック・バーバー・レーシングがエントリーしたこの935 K3は、1980年シーズンの主要レースに参戦し、ル・マン24時間レースにも出走。当時まだコンピュータ業界の新参者にすぎなかったアップルのロゴと、当時アップルが使用していたストライプをまとい、サーキットを駆け抜けた。
このリバリーの特筆すべき点は、レーシングカーでありながらも、得てしてリバリーによって付与されがちな攻撃性が影を潜め、極めてモダンかつポップなデザインとなっていることだろう。ホワイトベースに原色で鮮やかなロゴとストライプが配された姿はどこかバウハウス的で、スポンサーロゴの類はほとんどがブラックで統一され、うまく余白に配置されている。
このクリーンながらも印象的なリバリーは、多くのレースファンの脳裏に印象を残した。後年になってレプリカが製作されたり、ミニカーが多数販売されたことはその証左だといえるだろう。
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935から46年。アップルのカラーリングをポルシェが纏って帰ってくる。5月3日のIMSA ウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第4戦・ラグナセカで、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが走らせる2台のポルシェ963が、あの伝説のリバリーを現代に蘇らせるのだ。
レースに先立って公開されたリバリーは、ストライプといい1980年当時の”apple computer”ロゴといい、まさにひと目で935のアップルカラーを想起させるもの。935と違ってプロトタイプ・レーシングカーとなることもあってバランス感は当時とは異なる点もあるものの、往年のファンならば喜ばずにはいられないところだろう。
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このコラボレーションが実現した背景には、2026年という年のもつ特別な意味がある。ポルシェ・モータースポーツが1951年に356 SLでル・マンのクラス優勝を収めてから75周年、そしてアップルが創業から50周年を迎える年だ。
舞台にラグナセカが選ばれたことにも、偶然ではない理由がある。このサーキットはカリフォルニア北部に位置し、アップルのグローバル本社「アップル・パーク」からわずか南へ約80マイル(約130km)の距離にあるのだ。
加えてラグナセカは、直近4回のポルシェ・レンシュポルト・リユニオンの開催地でもある。世界最大のポルシェ・ファンの集いとして知られるこのイベントの第7回(2023年)では、限定トラックレーサーの「911 GT3 R レンシュポルト」がここで公開された。ポルシェにとってもファンにとっても、特別な意味をもつ場所だ。
アップルカラーの963は2台体制で出走する。そのうち7号車は現在IMSAの選手権ランキングトップに立っており、ポルシェはメーカーズタイトルでも首位を走っている。
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ポルシェは「このリバリーは一度限りの特別なデザイン」としている。963がレインボーのストライプをふたたびラグナセカに刻むシーンを心待ちにしたいところだ。