この記事をまとめると
■マクラーレンが2026年型F1マシン「MCL40A」をオークションに出品
■実際にはレース後に所有する権利が得られるという先物取引といった形態だ
■WECで使用する予定のハイパーカーなどもマクラーレンでは販売している
最新のF1マシンを買えるってどういうこと?
「おい、待てよ! マクラーレンはF1界隈でも成功しているチームじゃなかったっけ?」
思わず首を傾げてしまいそうなニュースが飛び込んできました。なんと、シーズン前のマシンを事前に販売しちゃうF1史上初の「先物オークション」にマクラーレンが2026年型F1マシン「MCL40A」出品。約1148万ドル(約17億9000万円)で落札されたというのです。これから走るマシンなのに売り買いしちゃうとは、一体全体どういうことなんでしょう。
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とはいえ、ご安心ください。マクラーレンは決して「お金に困って売った」のではなく、むしろF1のトップチームとして優れた財政基盤を築いており、じつに合理的で新しいビジネス戦略とのこと。出品されたのは、あくまで「2026年型マシンの所有権を事前に販売する権利」であり、現在走っているマシンがすでに個人の所有になってチームの手を離れているわけではないのです。つまり、2026シーズンにランド・ノリスかオスカー・ピアストリのどちらかが実際に走らせた本物のレースシャーシを1台受け取ることができるのですが、それはシーズン終了後ということ。
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それでも、実際にマシンが届くのは2028年、シーズンが終了した2年後とされています。これは、マクラーレンが出し惜しみしているわけではなく、ライバルチームへの最先端の技術流出を防ぐためにインターバルを置くため。ちなみに、納車までの2年間は展示用ショーカーが貸与されることになっていて「どうよ! 再来年はこれの本物が届くんだぜ」などとドヤ顔もできるというわけ。さらに、落札者はマクラーレン本社への招待、チーム代表のザク・ブラウンやドライバーとの面会、パドッククラブへのアクセスといったVIP待遇も用意されており、満足感はそれなりに大きいはず。なるほど、マクラーレンのビジネスセンスはなかなか鋭いものがあるようです。
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しかしながら、マシンが落札者に引き渡されたあとでも自由にサーキットを走らせることはできません。FIA(国際自動車連盟)の規則により、近年走ったF1マシンを走らせるのは「過去車両のテスト」として厳しく管理されているから。走らせる場合は、マクラーレンやメルセデスのパワーユニットエンジニアが帯同する専用のプライベートセッションだけ。ちょっと厳しいと思われるかもしれませんが、現代のF1は走らせる前段階の準備や、走っている最中のモニタリング、もちろん走行後のメンテナンスなど高いレベルが求められるのです。できたら積載車で運んで、スターター1発でブン回したいものですが、さすがはマクラーレンのF1といったところでしょうか。
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ちなみに、マクラーレンはF1だけでなく2027 WEC ハイパーカー(約11億8500万円)や2026 インディカー(約1億3200万円)も同様の仕組みで落札されています。3台合わせた総額は約1993万ドル(約31億円)に達するので、さぞやF1マシンの開発が進むのかと思いきや、チームが年間で使える開発・運営費に厳しい上限(約1億3500万ドル)が設けられているため、2026年マシンの開発費に上乗せして使うことはできないのです。出品の目的は「あくまで資産価値の最大化」とされ、これまでレース後は倉庫に眠らせるだけだった型落ちマシンを予約転売し、チームの純利益や別事業(インディカーやWEC、インフラ投資など)の資金にするのだとか。
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現在のF1は世界的に過去最高の人気とのこと。「走る前・見せる前の2026年型マシン」という、本来なら門外不出のはずの超最先端資産にプレミア価値がつくのはまさに今が絶頂期。マクラーレンはこの「F1ブーム」という市場価値がもっとも高い瞬間を狙い、ほかのチームが真似したくなるような「新しい資金調達のプラットフォーム」を成功させたといえるでしょう。どうやら、CEOのザク・ブラウンはロン・デニス以上の切れ者と呼んで差し支えなさそうです。