不快感を生む悪臭とリラックス効果の芳香
人間が生活するうえで嗅覚はとても大事な感覚だ。仮に鼻がまったく利かなかったとしたらガス漏れを知ることができないだろうし、悪臭のする腐った食べ物を口にしてお腹を壊すこともあるかもしれない。運転中ならブレーキの過熱(=フェード現象)に気付けず、危険な状況に陥ることも考えられる。ニオイを感じ取ることは、リスクを察知して自分の身を守ることにもつながるのだ。
一方、ニオイが人間に与える印象もきわめて大きい。「クサイ」と感じるニオイを嗅げば不快になるだろうし、「かぐわしい」と感じれば心が落ち着き、リラックスした気分になるものだ。
では、今回の本題であるクルマの室内はどうか? 新車を購入したことのある人なら覚えているだろう。内装に用いられている合成樹脂やビニール、革、ゴム、また接着剤など、さまざまな素材が一体になったニオイは新車時ならでは。芳香とは言えないが、その特有のニオイはオーナーの所有満足度を満たし、異臭ととらえる人は少ないはずだ。いや、”新車の香り”を模したスプレーまで発売されているのだから、むしろ好ましいニオイとしてとらえられているかもしれない。
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しかし、この新車のニオイは半年もすれば消えてしまう。代わりに発生するのがホコリ臭さや、シートや内張りなどに付着したドライバーや同乗者の汗や皮脂のニオイ、あるいはエアコンの内部に発生するカビ臭など。これらは頻繁にクリーニングしていても徐々に蓄積する。どんなに頑張っても、あまり臭わない程度に保つのが精一杯だろう。
臭い車内にお役立ちなのは”芳香剤”
そこで目を向けたいのが、”フレグランス”を活用して積極的に車内を好ましい香りに演出する手法だ。
じつは、こうした考え方はいまに始まったことではなく、日本では半世紀以上前の昭和40〜50年代にすでに密かに流行していて、当時のクルマ好きのあいだでは「クルマに芳香剤」は常識。いまではありえないことだが、そのボトルをこれ見よがしにリヤトレイに据え置いたり、ニオイを競い合うことが当然のように行われていた。ニオイの度合いは強いほど「良い」とされ、とくに夏場は高温の車内で成分が大量に揮発して充満。過剰に匂わせていた人も多かったことを記憶している。
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フレグランスとは「香水」のことをいい、原材料は香料とアルコールと蒸留水。そのなかに含まれる香料の割合が賦香率(ふこうりつ)と呼ばれ、賦香率が高いほど香りの持続時間が長く、低いと短くなる傾向。フランス語でパルファン(英語でパフューム)が最上位ランクとなる。
ちなみに、太古の時代に芳香植物・樹脂を焚いて天に立ち昇る煙を通じて神への祈りを捧げたのが起源。身だしなみやファッションなどを目的としてフレグランスが用いられるようになったのは18世紀頃からだと言われている。
メンタルにも作用するアロマのチカラ
アロマセラピー(もしくはアロマテラピー)という言葉を聞いたことがあるだろうか? 一般的に、精油=エッセンシャルオイル、または精油の芳香や植物に由来する芳香を使用して病気や外傷の治療、病気の予防、リラクゼーションやストレス解消などを目的とする療法のことだ。
ここ最近、国産、輸入問わず、多くの自動車メーカーで、この”アロマ”を活用した車内空間アイテムが(オプションアクセサリーとして)設定されるようになってきた。
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大半が、アクセサリーソケットから電源を取るディフューザーを使用するタイプで、ディフューザー内部のマット”パッド”にエッセンシャルオイルを2〜3滴垂らし、超音波を加えて霧化した気体を車内に拡散。芳香とリラクゼーション、ふたつの効果を得るというもの。
前述の芳香剤とは異なり、適度に香る程度。強い芳香を求める人だとモノ足りなさを感じるかもしれないが、「さり気なく香らせたい」という人もいるだろう。香らせ方を強めたいならオイルを多めに垂らせばいい。
エッセンシャルオイルはメーカーによって何タイプか設定があって、ブランドのイメージに合わせて調香されたフレグランスが用意されている点も興味深い。
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一般的な芳香剤と違い、香りが長時間残らないのものアロマディフューザーの大きな特徴のひとつ。気分に応じてその都度香りを変えて楽しめるのもメリットだ。ディフューザーとエッセンシャルオイル(1種類)をセットにしたスターターキットは3000円程度で購入できる。一度試してみる価値はありそうだ。