この記事をまとめると ■空港にはさまざまな専用車両が走っている
■「ベルトローダー」と「ハイリフトローダー」は代表的な車両たちだ
■飛行機に荷物を載せたり下ろしたりする際に使われる
空港には特殊なクルマが溢れている 普段、何気なく利用している空港。出発前に搭乗口や機内から窓の外を眺めていると、航空機のまわりで慌ただしく動きまわる風変わりな車両たちが目に留まるのではないだろうか。これらは「GSE(Ground Support Equipment=地上支援機材)」と呼ばれる、航空機の運航に欠かせない特殊な車両なのである。
なかでも、乗客から預かったスーツケースや世界中を行き交う貨物を機内へ積み込む「ローダー(貨物搭降載車両)」は、定時運航を支える大黒柱といっても過言ではない。
今回はその代表格である「ベルトローダー」と「ハイリフトローダー」に焦点を当て、それぞれの役割やメカニズムなどについて解説する。
飛行機の後部に付く、低いボディに長い滑り台のようなコンベアを載せている車両がある。それが、「ベルトローダー」だ。その役割は、バラ積み用貨物室に手荷物を搬入・搬出すること。主に、ボーイング737やエアバスA320といった「ナローボディ機(旅客室の通路が1本の小さな機体)」や、大型機の「バルクカーゴルーム(バラ積み用貨物室)」に使用される。
ベルトローダーのイメージ 画像はこちら
車両を機体のバラ積み用貨物室ドアに接近させ、車体上のベルトコンベア前部を油圧で持ち上げてドアの高さに合わせる。このとき、ベルトコンベアの後部は低いままなので滑り台のような形になる。地上側のスタッフがコンベアにスーツケースを載せると、ベルトが回転して荷物を機内に送り込む。貨物室内には別のスタッフがおり、それを受け取って貨物室内に隙間なくきれいに積み上げていくわけだ。
この車両は機体の下に潜り込めるように、運転席を含めた車高が非常に低く設計されている。これは、航空機が風や荷物の重さでつねに揺れ動くため、万が一車両が衝突して機体に傷をつけた場合、事故につながる可能性が出てくるからだ。そのため、コンベアの先端が機体に接触して傷をつけないように、センサーや特殊なゴム製のバンパーを備えているのである。
ベルトローダーのイメージ 画像はこちら
一方で、ボーイング777や787、エアバスA350といった「ワイドボディ機(通路が2本の双通路機)」の足元で、まるでロボットのようにトランスフォームする巨大な車両が「ハイリフトローダー」である。これは、貨物室に専用コンテナ(ULD:Unit Load Device)やパレットを水平に搬入・搬出するための車両で、昇降リフトとローラー式の床面を備え、重量物に対して高い運搬能力を有している。大型機の場合は、基本的に手荷物をULDに収納して搭載する(一部、ULDを使用せずにバラ積みする手荷物もある。また、貨物にもULDを使用することがある)。このコンテナを、機体の高い位置にある貨物室へともち上げるのがこの車両の任務だ。
ハイリフトローダーのイメージ 画像はこちら
車体は、前後2つのステージ(プラットフォーム)を持つ。後方のメインステージにコンテナを載せると、油圧シリンダーによってステージが真上へと垂直に上昇する。機体のドアの高さに到達すると、ステージの床面に埋め込まれた無数のローラーが回転し、コンテナを機内へと滑り込ませるのだ。
コンテナを前後左右に移動させたりその場で回転させたりするため、ハイリフトローダーの床面には駆動ローラー(オムニホイールなど)が配置されている。オペレーターは制御盤(運転席に相当)のジョイスティックを使用して、重さ数tにも及ぶコンテナをmm単位でコントロールして機内へと送り込む。その姿はまさに職人技といっても過言ではない。
ハイリフトローダーのイメージ 画像はこちら
これらの車両はディーゼル駆動であるが、近年は電動化(EV化)の波が押し寄せており、カーボンニュートラルの実現に向けた最新の電動ローダーが、主要空港へ導入され始めた。地球温暖化を進行させたり大気を汚すガスを出したりすることなく、驚くほど静かに働く次世代GSEへの交代劇も進められているのである。