この記事をまとめると
■港の道路は物流を安全に動かすため慎重な速度で流れている
■大型車は発進や加速に時間がかかり通過台数が減る
■長いトレーラーの右左折やゲート処理も流れを鈍らせる
港の道路はなぜノロノロ?
港湾地区を観察していると、時間がゆっくり進んでいるように感じる。物流のスタート地点だということを考えると、もっとせわしなく動いていてもよさそうなのだが、実際にはその逆だ。道路も広く、見とおしも悪くない。それなのにクルマの列はなかなか進まず、青信号になっても数台しか交差点を通過できないことがある。港湾エリアの流れが遅いのは、大型トラックやコンテナトレーラーを安全に動かすための条件が、道路全体の速度を決めていることに理由がある。
影響が大きいのが、1台あたりの発進と加速に時間がかかることだ。重量のある大型車は乗用車のように素早く動き出せず、前車との間隔を取りながらゆっくり速度を上げる。先頭が発進しても、その動きが後方まで伝わるには時間差が生じるため、乗用車中心の道路に比べて通過できる台数は少なくなりやすい。
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交差点ではさらに慎重な動きが必要になる。コンテナトレーラーは車体が長く、ヘッドとシャシーの軌跡も一致しない。内輪差が大きく、右折でも対向車線や縁石との間隔を確保しなければならない。狭い交差点では外側へ膨らんでから曲がることもあり、一台が右左折を終えるまで交差点を広く使う。その間、付近の車両は待つことになる。
港湾道路には、コンテナターミナルや倉庫、物流施設へ出入りする車両が集中する。とくにターミナルのゲートは単に通過するだけではない。予約や搬出入情報の確認、車両やコンテナ番号の照合、行き先の指示などが行われるため、1台ずつ処理する時間が必要になる。書類や登録情報に不備があればその場で確認が入り、後続の列にも影響が広がる。
さらに、コンテナ船の入港前後や倉庫の受け入れ時間が重なると、トレーラーの到着は特定の時間帯へ集中する。ゲート前の待機場に収まり切らなくなれば列は周辺道路まで延びる。一般車から見れば渋滞だが、実際にはターミナルへ入る順番を待つ車列であり、先頭がゲート処理を終えなければ全体は動かない。
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そして構内でも速度は上がらない。ターミナル内では大型の荷役機械が動き、トレーラーの横を作業車や誘導員が行き来する。積まれたコンテナによって死角も増えるため、施設ごとに定められた制限速度を守り、指定された走行経路や一時停止位置に従う必要がある。急いで走れば効率が上がる場所ではなく、1台の接触や立ち往生が構内全体を止めかねない現場なのだ。
さらに道路上の駐停車や待機車両も流れを鈍らせる原因のひとつ。倉庫の受付時刻やゲートの混雑を待つクルマ、配車指示を確認するクルマが路肩や待機スペースに集まると、実際に走れる車線が狭くなる。そこへ右左折する長い車両が加われば、後続車は少しずつ間隔を調整しながら進むしかない。
港湾エリアでは信号、ゲート、待機列、車体の長さ、構内ルールが別々に存在しているのではなく、互いにつながっている。1台の発進が遅れれば信号を通過できる台数が減り、ゲート処理が滞れば道路まで列が延びる。長いトレーラーが曲がれば交差点全体が一時的にふさがる。
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港の道路がゆっくり流れるのは、巨大で重い車両を事故なく動かし、貨物を確実に次の場所へ渡すため、全体が慎重な速度で動いているからなのである。もし港湾エリアに行く機会があれば、その流れをぜひ観察してほしい。ゆっくりと感じるのは一般的なイメージで、実際に物流に携わる人たちにとってはそれどころではないというのが本音だろう。