この記事をまとめると
■低床4軸は長距離輸送の主役として使われている
■タイヤの本数が多いなど構造が複雑な車両となっている
■ドライバーの荷役負担が軽減できるメリットがある
日本中で大活躍中の「低床4軸車」ってなんだ?
高速道路や幹線道路を走ると、タイヤのサイズが小さくて側面に多くの車輪が並んだ大型トラックを見かける機会が増えている。これが近年、日本の物流現場で支持を集めている「低床4軸」と呼ばれるトラックだ。かつては、大きなタイヤを前後に配した「高床2軸」や「高床3軸」が主流であった。しかし、現在の長距離輸送においては、この低床4軸が主役になってきているのだ。
通常の大型トラックが11R22.5サイズなど直径の大きなタイヤを装着するのに対し、低床4軸ではひとまわり以上小さな19.5インチクラスの小径タイヤを採用する。理由は単純で、タイヤを小さくすれば、それだけ荷台の床面を低くすることができるからだ。とはいえ、タイヤを小さくするだけでは、タイヤ1本あたりの耐荷重が低下する。
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大型トラックの最大積載量を維持するためには、車両総重量25トンを支えきらなければならない。そこで、車軸を通常の3本から「4本(前軸2輪2軸・後軸4輪2軸)」へと増やし、計12本のタイヤで重量を分散させる構造をとっているのだ。前方の2軸が連動して操舵する様子は、メカニズム的にも独特の機能美を感じさせる。
では、なぜこれほど複雑な構造にしてまで低床化を急ぐのか。
理由は「荷室容積の最大化」にあるという。日本の法規制では、トラックの全高は原則として3.8m(一部指定道路では4.1m)に制限されている。つまり、上方向への拡大には限界があるのだ。ならば、下方向へ広げるしかない。床面を低くしたぶんだけ、天井までの「荷室高」を高く確保できるようになり、これまでの車両に比べて、荷室容積を10~15%程度増やせるのである。さらに、「低重心化による走行安定性の向上」もメリットのひとつだ。背の高い荷物を積んでもふらつきにくく、高速道路での巡航やコーナリングのときの安定感は高床車を凌駕する。
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以前の運搬荷物は、鉄鋼・建材・重機といった「重くて体積が小さい荷物(重量物)」が中心だった。そのため、荷台の容積よりも床面の強度や走破性に優れる高床車が重宝されていた。しかし現代は、EC(電子商取引)の爆発的な普及により、宅配便のダンボール・食料・日用品といった、「軽くてかさばる荷物」が主流を占めている。重量制限に達する前に荷室が一杯になってしまうため、少しでも多くの容積を確保できる、低床4軸が求められるようになったのである。
この変化は、物流の現場やドライバーの労働環境にも、以下のような大きな影響を与えた。
・物流効率への貢献
カゴ台車(キャスター付きの輸送台車)やパレットを2段に積み重ねて輸送する際、高床車では天井に閊(つか)えていたケースでも、低床4軸であれば、ゆとりを持って積載できる。これにより積載効率が向上し、運行コストの削減とCO2排出量の抑制に貢献している。
・ドライバーへの恩恵と負担
ドライバーにとって最大のメリットは、荷台の床面が低くなったことで「荷役(にやく)性の向上」が図られた点だ。手作業での積み降ろし(手積みの過酷な作業)において、床面が約20~30cm低いだけで、腰への負担やもち上げる労力は大幅に軽減される。また、前述のとおり低重心による直進安定性が高いため、長距離運転における疲労度が少ないという声も多い。
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一方で、デメリットもある。タイヤ径が小さいため、同じ速度で走っていてもタイヤの回転数が高くなるので摩耗が早い。また、12本のタイヤを装着しているため、交換のときのコスト負担や、空気圧管理の手間が高床車(通常8~10本)よりも増える点は、運行管理上の課題といえる。とはいえ、独自の道路事情を抱えるわが国にとっては、ベターな選択肢といえるのではないだろうか。