日本のスーパーシルエットマシンの代表作！
1975年までオープントップのグループ6＝プロトタイプ・スポーツで争われていたスポーツカー世界選手権は、翌76年からはグループ5＝シルエットフォーミュラで争われることになった。一方、日本国内レースにおいても、ほぼそれと時を同じくしてシルエットフォーミュラの人気が高まってきていた。そして79年に富士グランチャンピオン・シリーズの前座レースとして富士スーパーシルエットシリーズが始まり、人気に拍車をかけることになった。海外の状況は次回にでも紹介するとして、今回は国内のシルエットフォーミュラを紹介してみよう。
★纏ったボディはムーンクラフト製★
1980 Nissan Bluebird Super-Silhouett Type KY910
ブルーバードの6代目、Y910系をベースに1982年に登場したブルーバード・スーパーシルエット。フレームはパイプで組んだスペースフレームで、L系直4をベースにツインプラグのツインカムヘッドを組み込んだLZ20Bエンジンを搭載。排気量が2082ccまで拡大され、ギャレット・エアリサーチ社製のターボでチューニングされ570馬力をひねり出していた。ボクシーで大柄なボディのデザインはムーンクラフトが手掛けている。オートバックス・カラーで走った83年シーズンに柳田春人が10戦4勝でチャンピオンに輝いている。写真のクルマはコカ・コーラ・ライトのカラーリングに塗られた84年仕様。座間の日産ヘリテイジコレクションで撮影。
★スタンドのスカイラインファンをどよめかせた★
1982 Nissan Skyline Super-Silhouett Type KDR30
1960年代の終わりから70年代初頭にかけて暴れまわったスカイラインが、久々にサーキットに帰ってきたのは1982年。市販モデルでもツインカムモデルが復活…4気筒だったからGT-Rとは呼ばれなかったが、スポーツムードが一気に盛り上がってきた頃だった。先陣を切ったシルビアと同様、市販モデルのイメージを生かしつつ、前後に大型のチンスポイラー＆ウィングを装着。エンジンは同じくLZ20Bを搭載。長谷見昌弘のドライブで活躍。富士での復帰戦では「スタンドのどよめきが聞こえて感激したよ」とは長谷見の弁。82年に2勝、83年には4勝を挙げている。やはり座間のヘリテイジコレクションで撮影。日産系のイベントでもお馴染みな存在だ。
★二代目で本格的なスーパーシルエットに★
1983 Nissan Silvia Super-Silhouett Type KS110
シルビアのシルエットターボは、じつはこのKS120系は2代目で、初代はKS110がベースでG5とはいうもののツーリングカーに毛が生えただけ。ベースモデルのモノコックをそのまま利用し1981年にデビューしている。双子車のガゼールも同時にデビューしてシルビアは星野一義が、ガゼールは柳田春人がドライブしていた。82年にはパイプフレームを組み、ラジエターもサイドに移設した、進歩的なマシンに生まれ変わっている。この時に柳田車は先述のブルーバードがベースになり、引き続き星野がシルビアをドライブした。エンジンは3台共通だが、各部は微妙に異なっている。やはり座間のヘリテイジコレクションで収蔵されイベントにも登場している。
★PRモデルながら造りは本格的★
1982 Nissan March Super-Silhouett Type K10
初代マーチにはモータースポーツのためのベース車両、ターボチャージャーとスーパーチャージャーを合わせ家組み込まれたマーチRもラインナップされていたが、これはCMキャラクターを務め『マッチのマーチ』の名コピーで一世を風靡したタレントの近藤真彦のために、当時人気の高かったスーパーシルエットのレース仕様を模して作られたプロモーションモデル。それでも派手なオーバーフェンダーやエアロパーツだけでなく、エンジンが、チューンを施され160馬力を絞り出す、1.5リッターのE15型に換装するなど、中身も拘って作りこまれている。こちらも座間のヘリテイジコレクションで収蔵され、NISMO FESTIVALなどのイベントで見かけることも多い。
