ホンダの新人事でF1はなにが変わるのか?

ホンダの本気を久々に感じる「F1人事改革!」

ホンダは、2016年2月23日、毎年恒例の人事異動を発表した。恒例の、といえば確かにその通りだが、モータースポーツのセクションの人事は大きく変化している。そして、もっとも気になるF1では「Honda フォーミュラ・ワン 2016年体制」の組織が大きく刷新された。

まず、モータースポーツ部長に、モーターレーシングに造詣が深いホンダマンとして知られる山本雅司(やまもとまさし)が抜擢された。国内も含めて、ホンダのモータースポーツ活動の活性化が期待される人事と言っていいだろう。WEB CARTOP

「F1に関わる全般の統括・監督責務を担い体制を強化するため」、本社にF1担当役員を新たに設置。松本宜之(まつもと よしゆき)(株)本田技術研究所 代表取締役社長社長執行役員が、本田技研工業(株) 取締役 専務執行役員F1担当を務める。

また、(株)本田技術研究所にて開発・製造・運営等の領域全般を担うF1プロジェクトは、新井康久LPL(ラージプロジェクトリーダー=総責任者)に代わって、第三期F1を経験した長谷川祐介(はせがわ ゆうすけ)主席研究員を F1プロジェクト総責任者として着任させ、より広い視野で開発力を高める狙いだ。

これはターボエンジンで最強を誇ったホンダF1第二期のゴールデンコンビの“川本信彦社長/桜井淑敏及び後藤治時代”を彷彿とさせる人事といえるかもしれない。

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3月1日から新たにF1プロジェクトを任される長谷川祐介総責任者は、主席研究員という肩書から、研究所の中で技術的な判断力がトップであることが分かる。アメリカのCARTでモータースポーツとの関わりをスタートさせ、ホンダの第3期F1時代にはエンジン担当、さらに2008年に撤退するまではチーフエンジニアとし手活躍した。

長谷川総責任者がモータースポーツの世界に入ったのは、第二期F1時代にアイルトン・セナの担当エンジニアだった木内武雄氏が、第三期活動の際にLPLとなり長谷川氏を現場担当に抜擢したことから始まった。

もちろん長谷川総責任者はこれまでF1のみならず、ハイブリッド制御などのノウハウも持っている一方で、サクラ随一といわれる英語力を活かして、マクラーレンやメディアとのコミュニケーションがより密接になることが期待されている。WEB CARTOP

また、これまで新井康久代表が担当していたマスコミ対応は、長谷川総責任者を含めた広報部との話し合いで絞り込まれていくというが、すでに長谷川総責任者は22日からはじまったバルセロナのF1合同テストの会場に立ち会い、新井康久代表からの業務受け渡しの実務もはじめている。

ホンダのモータースポーツ部門は、今回の変革で進化が期待できるが、生産車もそうであるように、さらにレーシングカー、中でもテクノロジーレベルが極めて高度なF1グランプでは、一朝一夕に結果が現れるほど甘い世界ではない。とはいえ、久々の“本気”を、ホンダに感じる改革に見える。

時間はかかるかもしれないが、ホンダ・ファンにとって、この人事で現れる結果を楽しみにしておきたい。


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