【試乗】トヨタ86MCモデル「ザックスのダンパーは上級ドイツ車のよう」 (2/2ページ)

オススメはオプションのザックス社製ダンパー

 注目はドイツのザックス社製ダンパーというオプションが用意されていることで、チューニングもザックスが行ったという。その効果は走り出すとすぐにわかる。

 ダンパーオイルの粘度が高まったかのように作動ごく初期からダンピングフォースが立ち上がり、路面の段差通過からハイスピードのアンジュレーション路まで優れた接地感を提供してくれる。

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 上級クラスのドイツ車に乗っているかのような質感の高さと快適性が得られており、文句ない仕上がりだ。スポーツカーは快適ではないといった視点を改めてくれる。ソフトなスプリングだけでごまかすのではなく、ダンピングをきっちりとコントロールしている点で、本物らしく仕上がっているわけだ。

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一方国産メーカー製ダンパー装着モデルでは、軽快感こそ高いものの接地性では差が大きく認められる。スバルBRZも違う国産のメーカー品を装着していて、段差突き上げ時の衝撃吸収性では一歩遅れをとってしまったようだ。

 86はさらに6速MTモデルのファイナルギアを4.1から4.3に見直しローギヤード化。6速クロスレシオと相まって小気味よい加速を見せる。インテークポートを樹脂製からアルミ鋳造性に変更するなど見直すことで、パワーアップも果たしたエンジンも走りを1ランク高めているのだ。

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基本的にはスバルBRZも変わらないサスペンションやボディを与えられているはずだが、従来安定指向の強かったBRZに対し86後期モデルは質感と直進性で差別化を図ろうとしているようだ。サーキットでのタイムには現れない機微の差が面白い。

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惜しむらくは今回もミシュランのプライマシータイヤが継承されたことだ。どんなタイヤでも履きこなせるシャーシという理想はわかるが、夏タイヤで雪道は走れないように86後期の好特性をサーキットなどで発揮させるにはあまりに物足りない。とくにウエットの特性はピーキーで危険性も高まる。車体性能に相応しいタイヤを装着してもらいたかった。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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