【WRCにその名を刻んだ名車】トヨタ・セリカWRC参戦の歴史 (3/3ページ)

電子デバイスを投入したセリカ最後のST205型

 セリカによる最後のWRC参戦車両となった6代目ST205型は3S−GTE型のエンジンに変更はなかったが、内部はさらに熟成、強化され、255馬力/31.0kg-mまで向上。

 発売と同時にWRC仕様(大型リヤスポイラー/フードエアスクープ(エア トゥー カウルガイド)/ウォーターインジェクション/インタークーラースプレー/ミスファイヤリングシステムを装備)が設定されるなど、電子デバイスが採用された意欲的なマシンであった。

 たた、ボディサイズの拡大とと新たに採用された革新のスーパーストラットサスの熟成が進まず、WRCでは苦戦。94年シーズン終盤に投入されたが、初勝利は翌年第4戦フランスのツールド・コルスまでかかってしまう。

 さらに、第7戦のラリー・カタルニアでは車両規則違反が発覚。この年の全ポイント剥奪と1年間の出場禁止処分が下される。これによってST205型での活動は2年足らずで終了するとともに、WRCに汚点を残してしまった。

 ただ、セリカはWRCに長年参戦し続けることで熟成を重ね、ST165型、ST185型の活躍でWRCの盟主として一時代を築き、欧州の地にトヨタの名前を根付かせたのは間違いのない事実だ。

 その後、1997年途中からにST205型開発ノウハウと反省を生かして、よりコンパクトな欧州カローラでWRCに復帰。そして、1999年にはマニファクチャラーズタイトルを獲得し、失った誇りや尊厳を取り戻している。

 (写真:TOYOTA MOTORSPORT GmbH)


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