メーカー選手権のヒーローたち【フォードGT40・前編】 (2/3ページ)

フェラーリを買収するプランが一転して誕生したGT40

アメリカでビッグ3の一翼を担っていたフォードは、1960年代に入ってイメージ戦略からモータースポーツ活動に力を入れることになった。そしてその目玉となったのが、当時のスポーツカーレース、とりわけル・マン24時間レースで敵なしの活躍を見せていたフェラーリの実戦部隊、スクーデリア・フェラーリを買収するプラン。

だがこれはエンツォ・フェラーリが激高して交渉決裂し、次善の策としてイギリスのコンストラクター(レーシングカー製造者)であるローラ・カーズとジョイントしてオリジナルマシンを製作することになったのだった。

プロトタイプを経て64年にはオリジナルモデルが完成。フォードGTとしてお披露目されたが、全高40インチ(1040mm)と低いシルエットが強調されておりいてGT40の愛称を授けられ、がてそれが本名になっていく。オリジナルモデル(=Mark Ⅰ)はスチール・モノコックにFRP製のカウルを纏うパッケージングを採用。

当時のレーシングマシンとしては一般的なアルミ・モノコックに比べると若干重くなる欠点はあったが、量産メーカーのフォードにとっては手慣れた手法だった。搭載されたV8エンジンは、プッシュロッドだが4.7リッターの大排気量から350馬力を発生。

野太いトルクをひねり出すことで、ライバルだったフェラーリ275Pのパフォーマンスを上まわっていた。

ただしデビュー戦となった64年のニュルブルクリンク1000kmも、ラップレコードをたたき出した同年のル・マン24時間もともにリタイヤ。ライバル・フェラーリの牙城を崩すには至っていなかった。