新型ホンダ・フィットの安全&運転支援装備ホンダセンシングを徹底チェック(動画あり)

ホンダセンシングは8つの機能の総称

 第1問 ホンダセンシングをご存じだろうか?

 第2問 それがフィットに装備されたことをご存じだろうか?

 この2つの質問の答えの認知が広がるほどに、コンパクトカーの勢力図にも変化が見えだすだろう。

 最近注目度の高い運転支援システム。さまざまな機能の総称であり、ホンダは8つの機能を統合して「ホンダセンシング」と名付けている。先に結果のようになってしまうが、その総合力が高く、それが先日のマイナーチェンジでコンパクトカーであるフィットに搭載されてきたからあえて取り上げることにした。

 WEB CARTOPの運転支援テスト恒例のJARIの城里テストコースに持ち込み、各機能をホンダの開発者の協力も受けながら確認してきたので、8つの機能に合わせて各ポイントを伝えていこう。

その1:ACC

 設定した速度を基軸に前走車に標準を合わせて車間距離を調整して走ってくれる機能。フィットの場合は時速30km以上の機能なので、渋滞中のサポートは期待できない。しかし高速道路の通常走行時の効果は絶大。前が見え辛い雨のなかでも、悪天候に強いミリ波レーダーを使っているので機能が停止しないし安心。また速度コントロールがスムースで、とくにブレーキの戻し操作がとてもいい。

その2:CMBS(衝突軽減ブレーキ)

 クルマや歩行者を対象に緊急ブレーキを掛けてくれる通称「自動ブレーキ」と呼ばれているもの。じつは緊急ブレーキも大切だが、それよりも如何に正確に早く危険を知らせる警報を鳴らせるかが危険回避には大事であり、ホンダセンシングはそれが早くて好印象。これであれば気がついてドライバー自身で対処できそうだし、安心感も高い。特筆すべきは、何度も試した歩行者の飛び出しに対する制御。ぶつかる=当然止まる。ギリギリで歩き去る=緊急ブレーキを途中解除。この危険が去った瞬間に緊急ブレーキが解除される制御が見事だった。

その3:路外逸脱抑制機能

 車線の逸脱を防止する機能だが、このホンダセンシングの制御内容はとても好き。まず車線を逸脱しそうになると、耳障りに感じやすい警報ではなくハンドル振動でドライバーだけに逸脱の可能性を知らせてくれる。逸脱しだすとハンドル支援で車線内に戻そうとする。さらには大きく逸脱しそうなときにはブレーキも掛けてくれる。

その4:誤発進抑制

 アクセルを“じわ~っ”と踏むと相応に走るが、ペダル踏み間違いにありがちなアクセルを急激に踏み込んだとき、前走車が4m以内にいるときに限っては、警報を響かせながらジワジワとしか進まない。ジワジワ進んでいるので、ブレーキではなくアクセルを踏んでいることに気がつきやすいのも好印象。

その5:先行車発進お知らせ

 もっともインパクトが弱く「あっても無くてもどっちでも良い機能」と思われやすいが、実際の使用では後続車からクラクション鳴らされ焦って走り出す必要がなくなるとても有効な機能。警報音も表示も解りやすい。

その6:標識認識機能

 特定の標識を読み取って表示してくれる機能。旅行に出かけた先の知らない場所などでは、注意がさまざまなものに行きやすいので、見落としがちになる標識表示は安全にも有効だ。と同時に、制限速度がインパネに表示されると、走行速度への意識が高まり安全に繋がる効果もある。

その7:LKAS(車線維持支援システム)

 じつは動画で展開している1000kmロングツーリング企画で、なぜホンダは強くアピールしないのか? と不思議がっていた機能がこれ。そのハンドル支援能力はとても高く、今までテストしてきた各社のなかでもトップランカーレベル。(ちなみに城里テストコースの周回路1コーナーを、手を離して時速80kmで曲がれる)しかも、その操舵支援の操作がスムースで、ドライバーに違和感を感じさせないのが魅力。唯一、時速65km以下だと使えないのが残念だ。

その8:歩行者事故低減ステアリング

 今回、唯一試せなかった機能。車線から外れ、路肩などにいる歩行者への衝突の可能性が高まると、ハンドル支援で回避してくれる機能。ほかの機能を踏まえればできるのはイメージできるが、機会を見つけて改めて確認しよう。

 これら8つを統合した呼び名がホンダセンシング。じつはこの原稿執筆時点で、別取材にてフィットとライバル車など数台でロングツーリングを行っている。気になる要素をしいてあげるなら、車線変更する際の安全確認支援のブラインドスポット機能がないこと。

 しかし、それを差し引いたとしてもホンダセンシングの完成度はとても高く、そもそも論ではお手頃コンパクトカーにこのレベルの運転支援を付けているメーカーはどこにもない。フィット自体が、先日のマイナーチェンジでよりスムースに走るようになったことも合わせて、今、激推しの一台として紹介しておこう。


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