4WD車は「曲がりにくい」と言われるけどその理由とは? (1/2ページ)

3つの理由によりアンダーステア傾向が強くなる

 その昔、不整地や雪道専用と思われていた4WDが、乗用車として一般化されたのは、1980年にデビューしたアウディクアトロ以降。日本では初代レガシィの大ヒットを受け、本格的に市民権を得て、今ではほとんどのメーカーが、フルタイム4WDの車種をラインアップしている。

4WD

 そんな4WDのメリットは、なんといってもトラクション性能と走破性、そして高速域や雨天でも高い直進安定性を誇ること。しかし、何でもそうだが長所と短所は表裏一体。直進安定性に優れた4WDは、コーナリングを得意としない。

 理由は大きくわけて以下の3つに集約される。

1) 前輪と後輪に回転差が生じるため

 クルマが旋回するときに、外輪と内輪に回転差が生じる(=内輪差)これを吸収するために、通常駆動輪の左右真ん中には、デフ(デファレンシャルギア)が入っている。前後のタイヤも、じつはコーナリング時に回転差が生じていて、旋回時には、前輪の回転半径が後輪の回転半径よりも大きくなる。

 この前後輪の回転差は、急旋回すればするほど顕著になり、4WD車で低速で大きな舵角を切って曲がろうとすると、前輪はブレーキがかったような状態になるにもかかわらず、後輪はトラクションをかけ続け、リヤからクルマ全体を押し出そうとし続けるので、非常に曲がりづらくなる。このような現象をタイトコーナブレーキング現象という。

 現代の4WD車は、このタイトコーナブレーキング現象を解消するため、前後輪の回転差を吸収・調整するセンターデフを設けており、各種電子制御デフやトルクスプリット4WDにすることで、よりニュートラルなコーナリングを実現しているが、理屈でいうと、元来4WDはコーナリングを苦手としている。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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