ルノーF1参戦40周年! 鈴鹿のピットに潜入して見たモノとは

ダンボールより軽いカーボンパーツに驚き

 1977年、F1で初めての1.5リッターV6ターボエンジンを搭載したルノーRS01で、F1に参戦し始めたルノー。今年はちょうどF1参戦40周年の節目の年ということで、先の鈴鹿サーキットでの日本GPの際、ルノー・スポール・フォーミュラワン・チームのピット中を見学させていただいた。F1日本GP

 去年から、車体もエンジンも自社開発のフルワークスチームとして体制を一新したルノーチーム。パワーユニット(PU)は、今シーズンもレッドブルが2勝しその優秀性を立証しているが、本家ルノーワークスとしては、第16戦日本GPまでに入賞7回(最高位6位×4回)といったところ。

 しかし、速さと入賞率の高さに定評がある、ニコ・ヒュルケンベルグに加え、次戦USGPから、ジョリオン・パーマーに替わり、カルロス・サインツJrがチームに移籍すると日本GPで発表され、上位争いに加わる準備が着々と進められている。

 そんなルノーチームのピットで、我々が見聞きしたのは……。カーボンをはじめとする軽量マテリアルの進化だ。ピット内は、当然機密性の高いものがわんさかあるのだが、いくつかのパーツは実際に手に取ってみることが許された。そのなかで、驚いたのはカーボン製のカウルやシートの軽さ。

 最近では、カーボン製品もかなり身近になっていて、アフターパーツのドライカーボン製のエアロパーツなども珍しくないが、それらの製品に比べてもF1用のカウル類は驚くほど軽い。市販のドライカーボンパーツの重さから、このカタチ、この大きさのものなら、だいたいこのぐらいの重さだろうと、ある程度予想はできていたつもりだが、実際に持たせてもらうと、その予想をはるかに上回る軽さでビックリ!

 おそらく同形状の段ボールより軽く、まるで軽い紙でできているような重さだった。表面のカラーはペイントで、ロゴ関係のみデカールという仕様。同じドライカーボンといっても、市販品とF1用のスペシャルでは、モノがまったく違うというのが実感できた。

 また、メタルパーツも一見アルミ削り出しに見えるようなパーツが、手に取ってみると、アルミよりかなり軽い素材でできていたり、ギヤボックスとリヤのサスアームをつなぐフレームなどは、なんとチタンのダイキャスト製というシロモノ。

 担当者によると、ルノーチームとして今シーズンとくにアップデートが進んでいるのが、カーボンパーツの製造・精度とエアロダイナミクスとのこと。とくにグランドエフェクトに直結するフロアの形状はトップシークレットで、常にカバーが掛けられていた。

 日本GPでは、決勝中、前半はポイント圏内を快走していたニコ・ヒュルケンベルグが、DRSが閉まらなくなるというトラブルでリタイヤしてしまったが、そのリヤウイングなども間近で見させていただいた。詳細はお伝えできないが、DRSのアクチュエーターなども含め、細部まで凝った作りになっていて、今回も、発展途上中のトライの結果のトラブルだったのかもしれない……。

 近年、F1はあまりにもテクノロジーが先鋭化され、市販車への技術転用は? という部分もあるが、現在ルノーチームが力を入れている、カーボンを含めた軽量化技術とエアロダイナミクスに関しては、運動性能と環境性能を両立できる最重要分野のひとつになっている。

 2017年のF1のクライマックスと、フルワークス参戦3年目となる来シーズンのルノーF1チームの活躍を期待するとともに、市販車でも先に紹介した、カングー「FORMULA EDITION」のような、F1に関連したクルマも増えてくるかもしれないので、レースも市販車も、ますますルノーに注目していきたい。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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