今新車を買うならコレ! 年度末商戦で好条件を引き出せるクルマ10台と狙い方

値引きやオプションのサービス装着が拡大する車種を狙う!

 年度末のクルマの売れ行きは、メーカーや販売会社の決算に大きく影響する。そのために3月にはクルマをなるべく多く売りたい。そこで通常よりも値引き額や下取り車の買い取り価格を高めたり、ディーラーオプションのサービス装着、低金利などを実施する。1年を通じてもっとも有利な条件で購入できるタイミングだ。年度末商戦

 ただし決算をプラスに導くには、決算月の3月中に登録(軽自動車は届け出)をしなければらない。在庫車を除くとメーカーに注文して納車されるまでに1〜1.5カ月を要するので、遅くとも2月下旬には契約しないと間に合わない。また納期の長い車種もあるから注意が必要だ。

 ここでは買い得な10車種を紹介するが、それ以外でも、売れ筋車種の多くは値引きなどの条件を好転させる。今の日本車メーカーは海外市場を重視して開発され(ダイハツ以外は世界販売台数の80%以上を海外で売る)、国内市場に適した新型車があまり発売されないからだ。要は国内では限られた売れ筋モデルだけで商売をしているから、大半の車種で有利な条件を引き出せる。ではオススメのクルマを紹介しよう。

軽自動車

・ダイハツ タント

 ライバル車のホンダN-BOXがフルモデルチェンジを行って売れ行きを伸ばし、スズキ・スペーシアも一新された。軽自動車では多額の値引き販売はできないが、ダイハツではディーラーオプションのカーナビを10万8000円まで割引きしたり、1.9%の低金利を実施中だ。ライバル2車も検討していることを前提に商談して好条件を引き出す。

コンパクトカー&ミドルサイズハッチバック

・日産ノート

e-POWERの設定で日産ノートの販売は好調だが、同じ日産のキューブとマーチは設計が古く、緊急自動ブレーキも採用していない。ウイングロードは生産を終えた。従って5ナンバーサイズに収まる日産のコンパクトカーで堅調に売れているのは、今やノートだけだ。

 資本が異なる日産ディーラー同士で、ノートの購入条件を競わせたり、トヨタ・アクアホンダ・フィット、フィットハイブリッドと競争させたい。日産のコンパクトカーは全般的に商品力が下がったが、ノートだけは満足できる。

・ホンダ フィット

 マイナーチェンジを行って、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備をホンダセンシングに進化させた。そのために昨年に比べると売れ行きを少し伸ばしたが、以前の勢いはない。フィットハイブリッドの7速DCTがリコールを受けて以来、販売の低迷から脱し切れていないためだ。

従って好条件も引き出しやすい。安価なコンパクトカーだから多額の値引きはできないが、日産ノート、ノートe-POWER、トヨタ・アクア、ヴィッツなどを相手に購入条件を競わせる。

・トヨタ プリウス

 小型/普通車では最高水準の売れ行きを誇るが、前年に比べると低調だ。2017年1〜12月は、2016年の同期に比べて35%のマイナスだった。実質的にライバル車が不在だから、トヨタの全店が扱うことを利用して、プリウス同士で値引き額や下取査定額を競わせる。

またスバル・インプレッサスポーツやマツダ・アクセラスポーツなど、ほかの車種との選択に悩んでいるなら、その車種と素直に条件を競わせても良い。トヨタのセールスマンは「プリウスはいろいろな車種と購入条件の競争になる」と述べ、他メーカーからは「車種を問わずプリウスは手ごわいライバル車だ」という声が聞かれる。

ミニバン

・ホンダ フリード

 発売から1年以上を経過して、売れ行きが20〜35%下がった。ライバル車のトヨタシエンタと比べても下降の度合いが大きい。2017年にホンダはN-BOXをフルモデルチェンジしてフィットのマイナーチェンジも行い、ステップワゴンはハイブリッドを追加したから、販売力が分散されてしまった。

フリードは失地回復を狙って、残価設定ローンに年率1.9%の低金利を適用して、ディーラーオプションのサービス装着なども行っている。シエンタの購入も引き合いに出して商談したい。

・日産セレナ

 完成検査の問題もあって一時的に売れ行きを下げたが、最近は回復傾向だ。ただし今の日産で好調に売れるのは、セレナ/ノート/デイズ&ルークス程度。エクストレイルは減少傾向だ。そのために購入条件は好転している。

セレナは、ライバル車のトヨタ・ヴォクシー3兄弟(ノア/エスクァイア)、ホンダ・ステップワゴンなどと条件を競わせ、資本系列が異なる日産ディーラー間でも比較する。

・ホンダ ステップワゴン

 スパーダにマイナーチェンジを施してハイブリッドも加え、売れ行きは上向いたがその効果がいつまで続くかは不透明だ。それでもステップワゴンは国内向けに開発されたミニバンの基幹車種だから、大量に売る必要があって条件を好転させやすい。

ホンダの場合は、ミニバンと軽自動車は在庫車(生産計画の立てられた車両を含む)を多くそろえ、そこから選ぶと値引きを拡大させやすい。逆に在庫車以外では、条件が一気に引き締まってしまう。

SUV

・ホンダ ヴェゼル

 2018年2月中旬にマイナーチェンジを実施したが、値引きはさほど引き締まらない。トヨタC-HRに押されて売れ行きが伸び悩んでおり、好条件で購入できる。

・日産エクストレイル

 セレナやノートと並ぶ日産の主力車種だが、売れ行きは下がり気味。それでも後席を含めて居住性が優れ、荷室の使い勝手も良く、安全装備を充実させて価格は割安だ。しかも今は値引きが拡大傾向を強めたので選ぶ価値が高い。

・スバル フォレスター

 2018年中にフルモデルチェンジを実施するが、アイサイトはバージョン3に進化している。ハイビーム状態を維持しながら相手車両の眩惑を防ぐアダプティブドライビングビームも採用した。これはインプレッサやレヴォーグには設定されていない先進装備だ。モデル末期でも内容が充実しているので、購入条件を日産エクストレイルなどと競わせて好条件を引き出したい。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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