世界が驚く高級サルーンを! 新型トヨタ・クラウンに与えられたメカニズムとは (2/4ページ)

求めたのは高級車にふさわしい上質さとキレのいい走り

 パワートレインは3種類をラインアップし、コンベンショナルエンジンは2Lターボ+8速ATを先代から継続採用。ハイブリッドでは、新開発のダイナミックフォースエンジンシリーズの直列4気筒2.5Lと、3.5L V6の2モデルがある。すでにほかのモデルでも高い評価を得ているが、新型クラウンへの搭載では、よりスポーティで洗練されたコントロール性のよさを得ている。

 2Lターボは、マフラーの設計変更で排気圧力のロスを小さくしたことで高回転域の伸びを改善。最高出力は従来型の173kWから180kW(245馬力)となり、トップクラスの出力を得ている。また、ターボの過給や加速レスポンスを高めるために、VVTのタイミング変更とともにアクセル操作に対する電子制御スロットルバルブの応答性を最適化。アクセル操作に駆動力特性の見直しも行っている。さらに8速ATでも油圧の適合を行って、変速レスポンスの改善を実施している。

 2.5Lハイブリッドは先代の2AR-FSEエンジンから、新世代のダイナミックフォースエンジン「A25A」に刷新された。高速燃焼を実現するためにボア87.5×ストローク103.4mmという、ストローク/ボア比1.2というロングストロークとし、シリンダーヘッドでは吸気バルブシートにレーザークラッドバルブシートを採用。ピークトルクの数値よりも低中速域で大幅なトルクアップを実現し、最高出力も向上している。

 燃料供給システムは、ポート噴射と直噴を併用したD-4Sだが、直噴側はマルチホールタイプのインジェクタとして混合気の均一性を向上させ、新開発のハーフリフト制御によって微小噴射量での分割噴射を行っている。オイルポンプの駆動ロスも燃費に大きく影響するので、トロコイド式可変容量オイルポンプを開発し、エンジン回転数と負荷率に応じた油圧制御を行う。

 A25Aはもともと横置きだったため、横置き用のパーツを約70%使いつつも、縦置き化に合わせて吸排気系を変更。エンジン高やフードの高さを下げるために、排気側に12.5度傾斜させて搭載している。

 ハイブリッドシステムのハード面は継続使用だが、新エンジンの出力特性や燃費のよさを武器にキレのいい走りを実現するために制御をチューニング。従来型に対してエンジンの低中速トルクや最高出力アップ分は、ハイブリッドトランスミッションの発電や駆動力増加にそのまま生かしている。発進加速や高速道路での合流などで余裕のある走りにつなげ、駆動や減速の力の出し入れの質感やスムースさにこだわった。アクセルオンでの追従性を上げ、エンジン回転数のリニアリティも高めて速度に応じた変化にしたほか、アクセルオフでの減速感も滑らかに立ち上がるようにしている。

 3.5L V6のハイブリッドはトヨタブランドとして初搭載となるもので、10段変速を可能にしたマルチステージハイブリッドだ。2モーターシステムにメカ式の4段変速を組み合わせたもので、エンジンとモーター両方の出力制御を可能とし、低速から高速までダイレクトな加速フィールを発揮する。高速域でのEV領域も大きく拡大した高効率のシステムだ。

 トランスミッション内部の機械的なガタ詰めやトレランスリングの装着により、加減速や変速時のノイズを徹底的に排除して高い質感も備えている。レクサスLCやLSの500hと共通のハードウェアだが、制御に関してはクラウンにマッチングさせたエレガントな特性へファインチューニングしている。

 操作系では、すべてのパワートレインでパドルシフトを採用し、リズミカルなドライビングを堪能できる。サウンド面では、ANC(アクティブノイズキャンセリング)とESE(エンジンサウンドエンハンスメント)を併用して、雑音を抑えたクリアで力感のあるエンジンサウンドが得られるようにしている。


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