回転だけ上がって速度が付いてこなかった! 最近クルマのCVTから「滑り感」がなくなった理由 (2/2ページ)

ハイブリッドモーターと組み合わせることで滑り感は減少する

 エンジン側では、エンジンは回転を上げていくと燃料をたくさん消費するし、摩擦抵抗も増え、燃費に影響を及ぼすことはすぐ思いつくことだと思いますが、じつは低い回転数でガソリンをあまり消費していないと思っているときでも、燃費に影響を及ぼす要因があります。それはポンピングロスと呼ばれ、シリンダーの中への混合気の吸い込みにくさによる抵抗です。

 ガソリンエンジンにも、排ガス浄化策のひとつである排気再循環(EGR)などの採用が広がることにより、吸気の際にスロットルを開け気味にしても燃料消費に影響を及ぼしにくい技術が使われてきています。それであれば低回転でエンジンを回しても損失が増えず、運転の違和感も抑えられます。

 あるいは、モーター発進や、モーターの補助力を使って発進・加速をするハイブリッドであれば、発進からの低いエンジン回転数で燃料を多く消費せずに済むので、CVTでも無理にエンジン回転を上げる必要がありません。これによっても違和感の少ない加速が実現します。

 近年の自動車技術は、ひとつの何かが優れているというだけでなく、システム全体の総合力で性能を高めていく傾向が強まっています。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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