値引きもコンディションもイマイチ! ディーラーに眠る長期在庫車の悲劇 (2/2ページ)

長期在庫車は売りにくい仕様を押しつけられた可能性も

 だが、完切れ車となると個々の車両できちんと利益を取らなければならないので、指示値引きというものが決められ、そこからの値引きアップはほとんど期待することはできない。「みなさんが思っているような破格な値引きは出ませんよ」とは現場のセールスマン。

 しかも9カ月以上も在庫車として置かれているので、クルマそのもののコンディションもけっして良いといえる状態ではない。とくに寒さの厳しいこの時期、バッテリーはほぼ必ず交換となるほど弱り切っているケースがほとんど。場合によってはボディ下まわりなどのサビも気になることもある。

 ディーラーとしても完切れ車はなるべく作りたくないので、完切れとなる前に自社名義で登録して試乗車などとして短期間活用して中古車として転売することもあるのだが、なかなかそうもいかないケースもあるようだ。

「完切れ車となるモデルには、こちらから先行オーダーもしていない、メーカーが一方的に送り込んできたモデルが目立ちますね」とのこと。ディーラーが納期のかかる売れ筋人気車を、メーカーに無理して早めに配車してもらったときなどには、“ギブ&テイク”としてメーカーが一方的に送り込んでくる車両を引き受けることはあるようだ。

 ただこのようなケースでやってきた在庫は、ハロゲンヘッドライトな上に、スマートキーではなく“フツーのカギ”だったりするなど、売りにくい仕様のものが多く、完切れ車になりやすいというのである。ただトラブルを避けるためにも、商談を始める前に完切れ車であることが説明されるのが一般的とされている。

 完切れ車の場合は当該車両を運輸支局へ持ち込み検査を受けるなど、手間が余計にかかるので、検査手続き代行費用も余計に必要となるので、商談していて急に納車が早まったりした場合には、念のため見積書の諸費用欄をチェックすれば、もしセールスマンから完切れ車という説明がなかったとしても確認することができる。

 マイナーチェンジや一部改良では、改良前モデルが改良後も在庫として残ることもあるが、フルモデルチェンジなどのときには、さすがにそのまま在庫にしてもなかなか売れないので、自社登録して、オークションなどへ出品して売り払ってしまうケースがあるようだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報