【試乗】日本未発売のオールシーズンの実力とは? 横浜ゴムのウインタータイヤ性能を極寒の旭川で体感 (2/2ページ)

同じウインタータイヤでも路面状況で走破性が大きく異なる

 ではふたつのウインタータイヤ、IG60とAW21はどのようなパフォーマンスの違いがあるのだろうか。圧雪路面のワインディングコースで実際に走り比べてみた。横浜ゴム

 IG60はステアリング操作に対する高いグリップレスポンスと、路面を掴んでいるグリップ感がステアリングにリニアに伝わってくる。ウインター専用設計のIG60が高いパフォーマンスを持っているのは言うまでもない。冬の怪物と謳っているのも納得のパフォーマンスだ。横浜ゴム

 AW21のパフォーマンスは、初めてオールシーズンタイヤを運転する私の予想を良い意味で裏切るものだった。発進時にアクセルをグッと踏み込んでみると空転も少なくグイグイと前に進み、強いブレーキを踏んでも雪をしっかりと掴み、高いトラクションと強い制動力が感じられた。横浜ゴム

 私は冬の路面でのタイヤは「進む力・止まる力」がとても重要だと思っている。もちろん曲がる力も必要だが、モータースポーツじゃない限り前述のふたつがまず絶対だ。なぜなら「進む・止まる」の性能が高ければドライバーがスピードを正確にコントロールすることができるからだ。コーナーに合わせてスピードを的確に調整すれば安全に曲がることができる。それが安心感に繋がるのだ。

 では、AW21の曲がる力はどうか? タイヤが路面を掴むグリップ力よりステアリングから感じるグリップ感がIG60に対し弱く感じ、スリップアングルがどうなっているのかわかりにくい印象を覚えた。IG60と比べて同じ舵角・同じスピードでは同じコースを走ることができない。IG60が理想的に安心して曲がれるスピードから、AW21は1割ほど速度を下げれば同じように曲がることができた。横浜ゴム

 よく考えてみてほしい。横浜ゴム最高性能のIG60に対してステアフィーリングこそ違いは大きいが、オールシーズンタイヤであっても1割程度の差で済んでいるのだ。さらに圧雪での制動距離の差は7%ほどだという。

 理由はAW21には溝の面積が多く、溝エッジ量が多いことで雪をしっかり掴むことができるからだ。カテゴリーの違いを考えればこのスノー性能は十分と言える。ドライブフィールでは両者まったく違う性格に感じるが、オールシーズンタイヤとしてのスノー性能は十分に高いポテンシャルを持っていると感じた。横浜ゴム

 しかしアイス性能を確認する氷盤路での制動とスラローム走行ではIG60とAW21の差が大きく出た。アイス性能を特化させているIG60は減速、スラロームともに優秀のひと言。速度20キロからの制動時にはしっかりと減速Gが感じるほどの制動力を持ち、止まる瞬間にはギュッとゴムがアイス路面に食いついて止まるほどだ。スラロームでは横Gを感じながら狙ったラインをしっかりとトレースでき、グリップ感もステアリングからしっかりと感じることができた。横浜ゴム

 一方のAW21はIG60に比べて設置面積が少なく、サイプエッジ量が少ない。吸水材もないため、ひとたびブレーキを強く踏めばゴムが氷を掴むことができず滑ってしまい、ABSが強く介入してしまう。減速Gはほとんど感じられないまま制動距離が伸び、停止位置はクルマ1台分先となった。横浜ゴム

 スラロームではさらに差が広がりIG60から3割ほど速度を落としたところでようやく狙ったラインを安全に通ることができた。オールシーズンタイヤにとってアイス路面は苦手なのだという事が明らかになった。

 では、なぜIG60はアイス路面で高いパフォーマンスを発揮することができるのか。それは前述の吸水材「吸水バルーン」の貢献が大きいだろう。では、吸水バルーンの含有量に違いでどのような変化が起きるのか、IG60の基準ゴム仕様と吸水バルーンを多くした仕様で氷盤路での制動とスラローム走行で比較してみた。横浜ゴム

 基準モデルに比べてグリップ感の高さが感じられ制動時のABSに介入度合いが少なくなった。つまり氷の表面にある水膜を吸水材がより多く吸収することで設置面積が増えゴムが氷をしっかりと掴んでいるのだ。ゴムと氷をしっかりと密着させることでタイヤ本来のパフォーマンスを引き出しやすくさせているのだ。これらは劇的な違いとまではいかないが、スタッドレスタイヤはこの吸水材の含有量が重要な要素のひとつということがわかった。横浜ゴム

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