長年愛される三菱の顔! デリカの歴代モデルを振り返る (2/3ページ)

戦後から作り続ける本格4WDの性能をデリカも受け継ぐ

 戦後、自衛隊の前身、警察予備隊から「小型トラックを作ってほしい」と依頼され、自動車メーカー3社がその競争入札に応じた。トヨタは「ジープBJ 型」、日産は「4W60型」、そして三菱はアメリカのウィリス社と提携し本家のジープを用意した。競争を勝ち抜いたのは三菱。かくして三菱は1953年からジープのノックダウン生産を行ない、一般向けにもジープを販売する。それはじつに45年間、1998年まで続いた。ちなみに敗れたトヨタ・ジープBJ 型は後にランドクルーザーとなり、日産の4W60型は後にパトロール(日本ではサファリ)となって現在に至っている。間接的にランクルの生みの親は自衛隊と言えなくもないのだ。

 三菱は戦後間もないころから4WD車を作り続けてきたということになる。ノウハウは十二分に蓄積していたのは間違いない。1978年、三菱はフォルテというフロントエンジンのピックアップトラックをリリースし、さらに1980年、そのフォルテに4WDを追加する。ジープ生産の技術を詰め込んだモデルだった。そして1982年、フォルテ4WDの技術を流用し、日本の自動車史に残るクルマを登場させる。

 それが初代パジェロだ。頑丈なラダーフレーム構造にパートタイム4WDを搭載する本格派のクロスカントリー4WDである。当初は商用バンのみの設定で特殊なクルマと思われたが、1983年乗用モデルを追加、さらに4ドアのロングボディを登場させた。パジェロ人気に火が付くと、日本に空前の「四駆ブーム」が巻き起こる。1987年に映画「私をスキーに連れてって」が公開されるとスキーブームが始まり、4WD車の人気はますます加速していく。ステッカーを山ほど貼った4WD車や、ハイリフトのクルマなどが街にあふれ、まさにブームだった。

 パジェロ登場の同年、パジェロと同様の4WDシステムを移植されたクルマが、なにを隠そうデリカ・スターワゴンだった。これが国産ワンボックス初の4WDで、しかも本格的なクロスカントリー走行もできるクルマだった。デリカ4WDもまた人気となり、パジェロとともに四駆ブームを牽引する。2&3代目「スターワゴン」時代は、デリカ=4WDというイメージが確立した。

1986年 3代目デリカ・スターワゴン【P系】

デリカ=4WDというイメージを確立し大人気パジェロとともにRVブームを牽引

 先代同様、3代目も主力は4WDモデル。クロカン4WD並みの走破性を誇り、搭載エンジンは2Lガソリンと2.5Lのディーゼルターボ。標準ルーフに加えハイルーフも設定。ハイルーフには「クリスタルライトルーフ」と呼ぶゴージャスなサンルーフ仕様を設定するなど、装備も極めて豪華だ。

 セカンドシートはロングスライドに加え回転機能付きで、前向き&後ろ向きのほか、斜め30度の位置でも固定できる。一体型のオーディオなど装備は充実している。

 こちらは2WD。ハイルーフ仕様に「クリスタルライトルーフ」を設定。上級モデルは高級車のような豪華装備を誇る。

1982年-1991年 初代パジェロ

四駆ブームを巻き起こした大人気4WD

 スターワゴン時代のデリカ4WDと基本的に同じシステムを持つクロスカントリー4WDが初代パジェロ。1987年公開の映画「私をスキーに連れてって」以降のスキーブームも重なって、パジェロは空前の四駆ブームを巻き起こした。

1994 4代目デリカ・スペースギア【P#系】

パジェロ譲りの本格派フルタイム4WDを搭載

 衝突安全基準に対応するため短いノーズを設けてミニバン化した4代目「スペースギア」。2代目パジェロと同様の頑丈なビルトインラダーフレーム、フルタイム化されたスーパーセレクト4WDを備える。3L V6など4種類のエンジンを搭載する。全長5mを超えるロングボディも用意された。

 バブル期の開発だけあって、豪華絢爛と言える装備を誇る。8人乗りのセカンドシートは対座はもちろん、90度の位置で固定することができた。

 2WDモデル。ロングには10人乗りも設定。先代同様、上級モデルにはクリスタルライトルーフを用意した。


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