【試乗】ボルボファン待望! V70の正統な後継車V60のPHEVは死角なし (1/2ページ)

フロントはマイルドハイブリッド駆動でリヤはモーター駆動のAWD

 ボルボのプレミアム・ミッドサイズステーションワゴンであるV60のプラグインハイブリッド(PHEV)に試乗してきたのでリポートしよう。ボルボのステーションワゴンというと以前は「エステート」として1990年代半ばには850が大人気を博し、2000年前後にV70で2世代、3世代と進化していた。とくに850時代には「T—5R」というスポーティグレードをラインアップし、TWR(トム・ウォーキンショー・レーシングチーム)がレースカーに仕立ててBTCC(イギリスツーリングカー選手権)に参戦し優勝を記録するなど話題となった。

 そのボルボ・エステートの系譜を現代に引継いでいるのがV60なわけだが、今回紹介するのはスポーツモデルではなく環境性能に優れるPHVモデルである。ボルボはPHEVを「ツインエンジン」と呼び、他社と区別化している。さらにモデル名にT6、T8とパワーレベルに応じた識別記号を付けているのが特徴だ。今回試乗に供されたのはT6のインスプリクションモデルである。

 T6に採用されるパワートレインは、まず2リッター直列4気筒にターボ&スーパーチャージャーを装備し最高出力253馬力/6000rpm、最大トルク350N・m/1700〜5000rpmを発生するガソリンエンジンをフロントに搭載。これにCISG(クランクマウンテッド インテグレーテッド スターター ジェネレーター)モーターを装着。いわゆるマイルドハイブリッド化している。CISGにより通常のスターターモーター(セルモーター)は不要となり、エンジンのパワーブースターとしても活用している。これに8速ATを連結しパワーマネージメントしながら前輪を駆動させている。

 一方、リヤアクスルには最高出力87馬力、最大トルク240N・mの電動駆動モーターを搭載。車体中央の通常ドライブシャフトが通るフロアトンネルに搭載される総電力量30Ahのリチウムイオンバッテリーから給電し125km/hまでピュアEVとして後輪を駆動させてもいる。これらをボルボが誇るSPA(スケアラブル プロダクト アーキテクチュア)プラットフォームに搭載しAWD(全輪駆動車)として構成しているのだ。

 運転席に乗り込むと最近のボルボ車らしく明るいツートーンカラーでハイセンスなデザインのインテリアに好印象を受ける。メーター内には速度計とエネルギーモニター、バッテリー残量などが示されるがエンジン回転計は表示されない。スタートスイッチボタンを捻ってシステムを起動する。ドライブセレクターは水晶様の美しい仕上げのレバーを採用。ブレーキを踏んでDレンジにセットすれば走行準備は完了だ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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